【映画感想】Win Win ☆☆☆1/2

<あらすじ>ニュージャージーの小さな町で弁護士をしているマイクだが、事務所の経営が思わしくなく、壊れたボイラーやトイレの修理さえ呼べない始末。地元の高校でレスリング部のコーチもしているが、チームは連戦連敗。経営危機を妻に言えず、ストレスで過呼吸になったりするサエな日々。そんな時、クライアントの老人の認知症が悪化、後見人が必要になる。老人の唯一の身内である娘は行方不明。小金持ちである老人の後見人になれば結構な手数料が入るとあって、金目当てで後見人を引き受けるマイク。しかし、老人の孫と名乗る16歳の少年が突然現れて、事態は思いがけない方向に...

ポール・ジアマッティって、好きな俳優なんだけど、見ていると複雑な気分になることがあるのですよね。

中年で腹もでているし、そもそも若い頃からハンサムじゃないし、どーにも冴えない感じで...いや、演技は上手いし、もともと冴えない男の役なのだからそれでいいのだけど。でもさ、女優だったら、この年齢この体型この容姿レベルで、こういう映画の主役を張れるだろうか?と考えてしまうのですよね。この映画でだって、彼の奥さん役の女優さんは、年はいってるし地味作りしているとはいえ、美人だしスタイルもいいものね。

あー、こんな映画で世の不公平に思いを馳せても、しょうがないのですけど。

これはね、昨日書いた「ソースコード」とは対照的に、ネタバレが気にならない映画だと思います。(でも上のあらすじは、パッケージ写真から予測つく範囲しか書いてませんけど。)

どうしてそうかと言うと、これは「キャラクター主導」のドラマだからなのですね。主人公のマイク。奥さんのジャッキー。少年カイル。マイクの友人テリー。いずれも登場早々からその性格がしっかり分かるように描かれていて、「この人ならこうするだろう」という行動をとる。だから、ストーリーの予測はある程度つくのですが、だからつまんないということは全然ない。むしろ、それが心地よい。

それと、登場人物みんなが聖人君子というわけじゃないけど、主人公も奥さんも友人も少年も、「未成年の少年→他人であっても保護しなきゃ」とか、「老人の最後の望み→多少無理があっても叶えなきゃ」とか、「レスリング部の弱い選手→でも1度は試合に出るチャンスを与えなきゃ」とか、当たり前のように基本を押さえているのが良いのです。

まあ、途中から登場する少年の母親だけは、そういう「信頼」が置けないタイプなので、後半は彼女が振り回す展開になるのですが。

でも、公平を期すと、少年のしっかりした性格からして、この母親だってずーっと無責任だったわけじゃないと思うのよねー。たぶんある時点までは、ちゃんとやってたんだと思う。でも、たぶん夫が逃げるかなんかして、金に困って、その後付き合った男もダメダメばかりで、そのうち少年も反抗的になって問題起こすし、自分はドラッグにハマってしまうしで...でもその時点まで、お金のことで父を頼って来なかったってことは、老人が彼女にとって良い父親じゃなかったってことも、多分本当なんだろう。

まーそれは、父親の面倒見ない理由にはなっても、息子の面倒をちゃんと見ない理由にはならないのだけどね。

とにかく、世の中、いい人も悪い人もいるのは確かだけど、いい人と悪い人がすっぱり二分されてるわけじゃなく、グラデーションになっている。この映画だと、いい人度で並べると、主人公の妻>主人公>主人公の友人>少年の母 という順番になるわけですが。(老人と少年は、「認知症」「未成年」という要素で大人の責任を免除されているので除く。)

その「いい人度」も、生まれ育ちや自分の意志だけで決まるものでもなくて、外的要素によって影響される。外的要素っていうのは、ほとんどの場合、早い話が金なわけで。誰でも、金に困れば困るほど、気高さレベルをどんどん滑り落ちて、卑しくなっちゃうわけで。

ウィンターズ・ボーン」の主人公の少女のように、どん底貧乏なのに気高さレベルは最高、という人間も、どこかにはいるのでしょうけど...まあめったにはいないよね。

貧すりゃ鈍すの凡人は、金に困ると、人に冷たくなったり、金目当てで利用したりとなるわけですが、そうすると冷たくされたり利用されたり人も、その分困って、卑しくなって、自分のまわりの人のレベルがどんどん落ちて、結局自分も生き辛くなったり...

困ったときこそ、人に親切にしてみると、それがいい方に転がって、Win-Winの関係になったり。

まあ、そういう話でした。

【映画感想】Bridesmaids ☆☆☆1/2

<あらすじ>アニーは小さなケーキ店をオーナーパティシエとして経営していたが、共同経営者で恋人の男に逃げられて店は倒産。お金も将来の展望もなく、親のコネで雇ってもらった仕事を嫌々しながら、セックスだけが目当ての軽薄男とダラダラ付き合う日々。そんな時、幼い頃からの親友リリアンが婚約、メイド・オブ・オーナー(花嫁の筆頭付き添い役)にアニーを指名した。しかし、ブライドメイド(花嫁付き添い役)の一人はリリアンが「最近知り合ってすぐ親友になった」ヘレンで、美人で大金持ち。アニーとヘレンは、花嫁の親友の座をめぐって対抗意識を燃やし合い...

結婚とイベントは、もちろん結婚する二人が中心ではあるけれど、花嫁花婿の友人たちにとっても、友情を深める(またはぶち壊す)機会でもあるわけですね...

面白かった。面白かったのですが、イマイチ楽しめないところも...それは、ヒロインのダラしない、自分勝手な行動に、いちいちカリカリくるからなんですよね私は。(「お買い物中毒」シリーズもそうだったし...私って、ちょっとそういうとこ、うるさすぎなのかなあ。)まあ、自分は人生どん底のところに親友のめでたい話、しかもあらゆる面で完璧なヘレンに親友まで奪われそうで、ついアホなことをしてしまうってのは分かるのだけどね。それにしたって、花嫁のことをまず第一に考えるべきときに、自分の感情でみんなを振り回して結婚前のイベントをことごとくぶち壊しておいて「あー私って可哀想」みたいなウジウジぶりに、いい加減にせい!と言いたくなる...

ま、前半でそういうダメダメぶりを発揮してこそ、後半の立ち直りなのですけどね。でも、落ち込んだあまりのダメぶりをこれだけ描写するのなら、落ち込んでいる理由(ケーキ店が潰れたいきさつ、前の男と別れたいきさつ)を、もっとちゃんと描写した方がいいような気がしたのですが。

とは言え、この映画、やっぱり嫌いになれないのですよねー。なぜなら、こういう風に女同士の関係を中心に描いた映画って、なかなかないからなんです。

「40歳の童貞男」とか「ハングオーバー」とか、男同士がワイワイガヤガヤと、ダラシなさも自分勝手さも変人(変態?)ぶりも発揮しながら、それでも底ではしっかり友情で結ばれている、という映画は結構あって、私はそういう映画が大好きなのですけど...女性版はなかなかない。(「Sex and the City」が、ちょっとそれっぽいかな?でも「SATC」はテレビ版は大好きだけど、映画版には問題ありすぎなんだよなあ。)

女性主人公だと、あくまで中心は恋愛(男との関係)で、ヒロインの友人はあくまで「ヒロインの友人」で恋愛を応援する(あるいは、友人の恋愛がエピソード的にはさまれてヒロインの恋愛と対比される)というパターンが多い。その点この映画は、中心となる女たち(花嫁のブライドメイズ)はそれぞれ恋愛(and/or結婚)しているのだけど、相手の男たち(ヒロインの相手は除く)はほとんど顔もろくに映らず、あくまで女と女の関係を中心に進行するところがいい。

<以下ちょいばれ>

主役のアニーの恋愛関係は、さすがにちゃんと描かれていますけどね。新しい恋人になる警官が、なかなか良い感じ。どちらかと言うと、男性主人公映画のヒロインの役廻りに近いかもしれない。主人公に、自分のダラしないところ、自己中心的なところを気づかせるしっかり者で優しい恋人、という意味で。(初デートで盛り上がって勢いで一夜を共にして、翌朝「昨夜のことは間違いだった」と言ってさっさと帰ったりしたら、男だって傷つくよなあ。「後腐れなくセックスだけできてラッキー」と思うような男ばかりじゃないでしょ。車のテールランプを修理しないアニーにぶち切れるエピソードが象徴的に使われているのも上手い。)

とにかく、そういうところが貴重な映画なだけに、描写に「もっとこうすれば」が多いのが惜しいのですよねー。ブライドメイズも、アニーとヘレンと「変人系」担当のメーガン以外は、あんまりキャラクター・ディベロップメントがなかったのが惜しい。特に、3人の男の子の子育てに忙殺されている主婦で、ベガスでのバチェラロット・パーティ(バチェラー・パーティの女性版)で羽目を外すことに期待しまくっているリタなんかいいキャラで、あまり描写されず終わってしまったのが残念。

彼女が「たまには、旦那とお義理のセックスをしながらじゃなく『デイリーショー』を見たいわ」と言うセリフがあったけど...デイリーショーを「ながら見」している人って、アンソニー・ウィーナーだけじゃないんですね(笑)。気分を高めるとは、到底思えないのですが...

【映画感想】怪盗グルーの月泥棒 ☆☆☆1/2

ピクサーの影響をモロに感じるなあ、と思ったら、元ピクサーのアニメーターの人が参加しているみたいですね。

まあでも、可愛いし、面白かったです。わたし、トイ・ストーリーの脇キャラの中では、3つ目の宇宙人トリオがお気に入りなんですが、あの感じが好きな人なら、多分気に入ると思う。

背景のデザインなども、ティム・バートンをちょっと甘口にしたような感じで、オシャレ。

ピクサーのように、油断していると不意打ちで大感動させられて涙腺崩壊、という心配(?)はあんまりないので、安心して見られます。

でも、楽しく見るにはひとつ条件が...「字幕版(英語版)で見ること。」だってコレ、日本語吹替えひど過ぎでしょ。

主人公の原語の吹替え(スティーブ・カレル)には、妙なラテン系のアクセントがあるのだが、あれはどっちかというと、気取っていて、怪しげで、わざとらしくて、近寄りがたい感じの演出であり(なにしろ悪党という設定だし)、関西弁とはむしろ逆だ。

またそれ以前に...今回つくづく思ったのだが、翻訳に関西弁を使うのは、モノが何であれ、禁止だよ。禁止!

翻訳というのは、原語のテイストを出来る限りそのままにする、余計な色をつけない、というのがベストでしょう。日本語の方言の中でも関西弁というのは、それを喋るというだけで、そのキャラにかなり強い「味」が付与される。(例:「動物のお医者さん」のミケ)そしてその「味」は、私の知る限り、英語のアクセントで相当するものはない。そのぐらいユニークで、特徴の強い方言で、文化として誇るべきものだけど、だからこそ勝手に外国語の翻訳に当てはめちゃだめなのよ。

私がこの映画をレンタルしたのは、主人公の声をスティーブ・カレルがやっているからで、日本語吹替えが誰かなんて知りもしないで借りたのだけど、面白かったので日本語吹替えでも見てみるか、と切り替えてみたら...主人公が一言喋ったとたんに「ギャー!!」って感じで、あわてて止めました。

ディズニーやピクサーのアニメでは、日本語吹替えでこういう思いをしたことがないのだけど、あれは日本の配給会社がこういうスットコドッコイなことをやらかさないように、米本社がしっかり目を光らせているのだろうなあ。ディズニー以外のアメリカのアニメ制作会社、そういうところも真似しなきゃだめよ!

【映画感想】The Source Code ☆☆☆☆  

「ミッション:8ミニッツ」という邦題で10月末日本公開だそうです。出来る限り情報入れずに見ることをおすすめ。なるべくなら、ポスターとかチラシのコピーも読まない方が...無理?

男はシカゴへ向かう電車内で目を覚ました。向かいの席に座った若い女が、彼に親しげに話しかけている。恋人か、ごく親しい友人のように。感じのよい、美人で頭もよさそうな女性。

<以下、ネタバレはしてないけど、人によっては微妙にイラっとくるかもしれないことが書いてあるので注意>

...でも、こんな女は知らない。会ったこともない。彼女が自分を呼ぶ名前も、聞いたことがない。ポケットの財布に入ってた身分証の、見知らぬ男は誰だ?トイレに駆け込み、鏡に目をやると、そこには...

そして...

そして...

...その先は知らないで見たほうがいいです。

ネタバレってさー、ラストだけじゃないんだよねー。むしろ、ラストはどうでもいい。冒頭の「何これ?何がどうなってんの?」感がいいの。うう、書けないのがもどかしい。

旧友のスキャンダル(ここ最近のThe Daily Show)その3

さて、そのような経緯があった後、衝撃の緊急記者会見から一夜明けた6/7火曜日のThe Daily Show。ジョンは、ウィーナー記者会見のパロディで番組を始めました。

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/7 Jon Stewart Press Conference

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/7 John Oliver Takes Over

(やたらに字幕解説が出る、24時間ニュースTV局の記者会見中継のやり方をパロディにしています。)

サブタイトル:「このあと:ジョン・スチュワートの記者会見」

アナウンサー:ジョン・スチュワートが登壇しました。記者会見が始まります。

(ジョン、登場早々、ペットボトルの水を飲む)

ジョン・スチュワート:お集まりいただきありがとうございます。これより、ここ10日間ほどの私の行動に関して、疑問を晴らしたいと思います。

サブタイトル:「ジョン・スチュワート:TVコメディアン」

ジョン:私は自分の行動に全面的責任を取ります。私は...いくつかの間違いを犯しました。そして、身近な人々を傷つけました。

サブタイトル:「ジョン・スチュワート:『私は間違いを犯した』」

字幕解説:「人前で話す人は、喉を潤すためと、次に何を言うか考える時間を稼ぐために何か飲むことがある。」

ジョン:先日、ある下院議員、その名前が生殖器の別名と同じである下院議員が、ある若い女性に...それの写真を送りました。このことは、いかなる基準においても、コメディアンにとって、神...の代わりに彼らが崇める何かからの贈り物ではありません。

字幕解説:「コメディアンはウイスキーと潰瘍の薬に祈りを捧げる。」

ジョン:先週、我々は3日分の番組でこの話を取り上げ、59種類以上のジョークを言いました。ペニスにひっかけたダジャレが9種類、R・ケリーのモノマネを使って「クローゼットに隠れて」風の解説もやり、私自身も、「f**ked up」という言葉を10回使いました。

字幕解説:「***ネタのジョークを数えされられたインターンにお詫びします。」

ジョン:私は下院議員の個人的友人であることを認めましたが、彼が正直に話していないと考えていたことを表明し、もし疑惑の最悪の部分が事実なら、辞職すべきだと言いました。そして、もういちど「f**k」という言葉を使いました。

サブタイトル:「コメディアンのニュースキャスター、謝罪」

サブタイトル:「スチュワート、変態の友人に辞職をすすめる」

(ジョン、演台の下からシェイカーを取り出し、ピンクのカクテルをグラスに注ぐ)

字幕解説:「コスモポリタンは、HBOのシリーズ「Sex and the City」で人気が出たカクテルである。」

ジョン:(コスモを飲んで)うーん、おいしー。

サブタイトル:「スチュワートは自分自身を『サマンサ』タイプだと思っている。」

ジョン:昨日、下院議員は、問題のペニスは実は、彼自身のものだと認めました。

サブタイトル:「ウィーナー:『あのでっかいペニスは私の』」

ジョン:彼は、午後4時半の記者会見でそう認めました。我々は午後6時から番組を収録します。私は、決断を下しました。いくつかウィーナーネタのジョークをやって、記者会見に言及するが、基本的にはすでに脚本を書いてあったジョン・エドワーズとサラ・ペイリンのネタでゆこうと。

サブタイトル:「スチュワート:『サボリなので、5時以降にはジョークは書かない』」

ジョン:これは私の決断であり、私自身が一人で決定したことであります。それが間違いであったことは承知しています。

(ジョン、演台の下からブレンダーを取り出す)

字幕解説:「フローズン・マルガリータの主な消費者:ティーンの女の子とジョン・スチュワート」

(ジョン、フローズン・マルガリータを作り、ブレンダーを止めようとするが、止まらないのでグラスを持った手で叩く。グラスが割れる音。)

ジョン:(自分の手を見て)...まずいな。

(ジョン、割れたグラスからフローズン・マルガリータを飲む)

ジョン:(笑)あー、多分、後で病院行かなきゃならないと思う...F****K!(真顔に戻って)私は、大事な人々に苦痛をもたらしました。スタッフ、視聴者...私の素晴らしい、エキゾチックな家族...

(アジア系の奥さん(偽)と黒人の息子(偽)が手を振り、白人の息子(偽)が中指を立てる)

ジョン:私は昨日の番組で、ウィーナー氏が嘘をついていたとはっきり言いませんでした。彼がウソツキで、パンツに火がついていることを指摘しませんでした。議員にとって不幸中の幸い、火災安全装置はついていますが...

字幕解説:「スチュワートの友人の下半身への執着はキモくなってきている」

ジョン:そのような理由から、議員と違って、私は辞職することを決意しました。...いいえ、聞いて下さい!

ジョン:私は、その英国アクセントが偽の信頼感を与える人物に、司会の座を譲りたいと思います。ジョン・オリバーです。

字幕解説:「ジョン・オリバーは2007年からThe Daily Showに参加している。」

サブタイトル:「オリバー:信頼できる英国人」

ジョン・オリバー:ありがとうございます。最初に、視聴者の皆様にお約束します。もう、ビビったりしないことを。【中略】私はアンソニー・ウィーナーをしつこく追及し、容赦なくバカにし、彼の恥が誰の目にも明らかになるまで、隠しきれなくなるほどふくらんで、布を突き破って外に飛び出しそうになるまで...今回は、ハッピー・エンディングはないぞ、ウィーナー!

字幕解説:「Double Entendre:「二重の意味」フランス語」

ジョン・オリバー:そして、スチュワート、君については...あー、君とその、明らかにケガしてる手については...それ、ほんとにマズいから。

ジョン:(血が出ている手を見せて)F**K!...これ、早く終わらせないと出血多量になるよ、Motherf**ker!

(スタッフがペーパータオルを差し出す)

オリバー:大丈夫だって!そこでユダヤ系っぽさをアピールしなくていいから。

ジョン:むしろカソリックになって、これを飲み物にすればいいわけ?

...1ブログエントリー当たりのお下品基準値を超えたので、このへんにしておきます(笑)

しかし、ジョンは横顔になると、ウィーナーさんにちょっと似てるのよね。同年代だし、ユダヤ系だし...ジョンの方が老けて見えるけど。まあウィーナー氏は、議員会館のジムにせっせと通って、どうやらエステにも行っていたようだし...w

「友人だから扱いが甘い」と批判されたことを逆手に取った、見事なパロディでした。

逆手にとりすぎて、勢い余って手をケガしてしまいましたがね(笑)。このアドリブがあったから、余計に面白くなったと思います。ジョン・オリバーとのアドリブの息の合い方と言ったら、うむ、素敵だ...

(ちなみに、これは記者会見中継のパロディなので「LIVE」と出ていますが、本当に生放送なわけではないです。でも、デイリーショーは、アクシデントがあってもめったに撮り直しはしないのですよね。客前で収録しているし、アクシデントでかえって面白くなることが多いので。)

このスキャンダルは、ジョンにとって長年の個人的な友人の話であり、でもだからと言って、あまりにデイリーショー向きのネタなので扱わないってわけにもゆかない、どう扱っても外野からは文句を言われるに決まっている、実にやりにくいネタだったと思いますが...

まあ、いろいろ見方はあると思いますが...私はジョンは、友人をことさら庇ってはいないし、ことさら厳しくもしていないと思いますが...一つ感じたのは、自分自身をあえて全面的に巻き込むことによって、絶妙なバランスを取っているなあ、ということです。この話を扱う時は、ジョンはウィーナー議員が自分の昔からの友だちであることを必ず、しつこいほどに口にしているし、この記者会見のパロディなんて、スキャンダルそのものではなくて、「自分がそのスキャンダルをどう扱ったか」の話にしてしまっているし。

翌日の水曜日の番組では、お相手のひとりのベガスの女性が暴露したsexting内容に「The Daily Show」が言及されていたことをネタにしていたし(ま、これはその女性が、デイリーショーでネタにしてほしくてわざとそこを公開したんじゃないかと勘ぐっているんですけどね、私は。)

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/8 The Wangover

このエントリーを書いている時点で、ウィーナー議員は辞職を否定、議会からの「病欠」を申し出ています。(民主党の幹部からは辞職を求められているようですが。)奥さん(ヒラリー・クリントンのスタッフ)から離婚話も、今のところ出ていないようです。

まあ、彼のキャリアと結婚生活の行く末は、彼自身と奥様と選挙区の有権者次第ですがね。キャリアや結婚がどうなるにせよ、個人的には何とか乗り越えて、元気を取り戻してほしいと思います。これ、完全に「ジョンの友だちだから」というバイアスで言ってますが(笑)。

追記:と、これをアップしたとたんに、ウィーナー議員が辞職を決意したというニュースが。やれやれ、いろいろ、残念なことですなあ。

旧友のスキャンダル(ここ最近のThe Daily Show)その2

一昨日のつづき。

6/6(月)午後、ウィーナー議員は緊急記者会見を開き、問題の下半身写真はたしかに自分のものであること、そして送ったのも自分であることを認めました。そこまでは、誰もが想像していたことなんですが...問題は「なぜ送ったか」の部分。つまり議員は、ツイッターフェイスブック、メールなどで、きわどいH話を楽しむ(やらしー写真も送り合う)相手を、複数持っていたわけです。

こういうのを「sexting」と言うそうで。まあ、「テレホンセックス」のネット・テキスト版?英語で、携帯メールのことをtextingと呼ぶので、それとsexを合わせた新語らしい。(関係ないけど、私は「Glee」でこの言葉を覚えました。)

どうやら議員は、ツイッターのDM(ダイレクト・メッセージ 送った相手にしか読めない)機能を使うつもりで、うっかり普通のリプライ(フォロワーのタイムラインには表示されないが、読もうと思えば誰でも読める)で写真リンクを送ってしまったようです。すぐに気づいて削除したものの、その僅かな間に、彼のツイッターでの挙動を怪しいと思ってぴったりネットストーカーしていたアンドリュー・ブライトバートという保守派三流ジャーナリストが気づいてすかさず保存し、世間に公表した..という経緯のようです。

ちなみに、アンドリュー・ブライトバートについては2010/7/28のエントリーを参照。ウィーナー議員の記者会見にはブライトバート自身が乱入して議員に謝罪を求め、議員も謝罪せざるを得なかったという一幕もあって...

今回のことでは、sextingよりも何よりも、とにかく「彼のアホな挙動のおけげで、ブライトバートみたいな人間の信頼性を回復させてしまった」という罪でウィーナーを許せん!というリベラル派も多いようです。まったくねえ。

ウィーナー議員は、そのsexting相手の女性たちとは、直接会ったことはないと言っています。でも、このスキャンダルが、普通の不倫スキャンダルと比べて「マシ」かどうかは、微妙ですなあ。sextingしていたというだけなら、まあ大した問題じゃないし、彼と奥様の間の問題ですが...議員としての彼に好感を持ってツイッターでフォローしてきた見知らぬ女性に、まあ仮に女性の方から「あなたは超セクシー(はぁと)」みたいなリプを送ってきたとしても...それに対して、(少なくとも)H話をやりとりするような関係になることが目的でノリノリのリプを返すというのは...キモすぎてドン引きだわ。第一、ツイッターなんぞでこんなヤバいことをしていてバレないと思うのがアホすぎだし、相手が未成年だったらどうするつもりだったんだ。

10年以上も愛人がいて子供まで作っていながら、知事在職中はしっかり隠し通したシュワちゃんとは何たる差。(<どっちもホメてないよ。)

まあ、それはともかく...とにかく、この記者会見が行われたのが月曜の4時半ごろからだったわけです。

これは以前に新聞の記事で読んだのですが、The Daily Showの1日のスケジュールは、朝8時ごろジョンと脚本家がミーティングをして、前日のニュースからどのネタを扱うか決め、午前中に脚本を書き、昼頃からジョンがレビューして脚本を直してゆき、午後2時ごろにだいたい脚本が固まって、その後グラフィックや小道具を揃えて、4時ごろからリハーサル、5時過ぎから外に並んでいる観客を入れ始め、6時ごろから収録...というタイムテーブル。つまり、普通なら、午後の4時半から始まった記者会見のネタをその日の番組に反映するのは不可能なのです。

でも、この日の番組に、ジョンは何とかウィーナーの記者会見ネタを突っ込んでいました。多分ぎりぎりで脚本を書き直し、観客はいつもより長く待たされたことと思います。

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/6

ジョン・スチュワート:そして東部標準時4時25分、このニュースは公式に...悲しくなった。

ところがねー。いつものことですが、この月曜のセグメントが短く、わりとあっさりしていたことを取り上げて、ジョンはウィーナーの友人だから手加減している、いやウィーナーが民主党でリベラル派だから扱いが甘いんだ、共和党議員のスキャンダルは大喜びでネタにするくせにダブルスタンダードだ、などなど、ごちゃごちゃ言う記事の多かったこと!

民主党議員だから甘い、というのは完全な言いがかりですけどね。ジョンはクリントンのときはもちろん、民主党エリオット・スピッツァージョン・エドワーズのときも、それこそ「大喜びで」ネタにしてましたがな。逆に共和党員のスキャンダルでも、話の展開がイマイチ面白くない場合は、あんまりネタにしていない。(シュワちゃんのネタだって、1度ちらっと触れただけ。)共和党のラリー「俺は歩幅が広いんだ」クレイグや、サウスカロライナ知事のマーク「アパラチア山脈をトレッキングしてました」サンフォードは、あれはネタが面白すぎたんだって。(知らない人はググって下さい。)

それに、民主党/共和党、リベラル/保守に対する「ダブルスタンダード」ならともかく、友人に対してアカの他人と扱い方が違うのを「ダブルスタンダード」と非難するのも変な話で。違うスタンダードが適応されるからこそ「友人」なんだろうが。

しかし、ジョンにとって不幸なことに、このスキャンダルの展開は、まさに「ネタが面白すぎて扱わざるを得ない」方向に、どんどん進んで行ったのでした...

つづきます。

旧友のスキャンダル(ここ最近のThe Daily Show)その1

震災以来、すっかりブログさぼってしまって...いや震災関係ないかな。ちょっとしたことを言うには、Twitterで用が足りてしまうせいで、すっかり落ち着いて長めの文章書く気力がなくなってしまって。

で、カムバック第一弾のネタがこれかよ(笑)。

ここ1週間の、アメリカのメディアを席巻しているニュースです。連日Googleニュースのトップを飾っております。

と書くと、「何?そんな大ニュースがあるのに、なぜ日本のマスコミは報道しない?」と、いつもの私なら反応しそうですが、いえ、これは報道しなくていいです(笑)。原発のニュースを差し置いてこれを報道したら、それこそヘンだ。ほんと、クッダラないセックス・スキャンダルなんですが...

なのに、なぜわざわざブログ書きを再開してまでまとめを書くかっていうと...スキャンダルを起こした当の下院議員アンソニー・ウィーナー氏が、ジョン・スチュワートの旧友だからなのですな。

2010年2月10日のエントリーを参照。(しかし、「政治生命を絶つことができる写真」とかのジョーク、今となってはシャレになりませんな...)

日本では(幸い)あまり報道されていないので、経緯を簡単にまとめておきますと、ことの起こりは、ウィーナー下院議員のTwitterアカウントから、シアトルに住む若い女性に、男性の下半身画像(一応下着ははいている)が送られていたことが暴露されたことです。

その画像というのは...いや、わざわざ画像検索することはないか。リンクしたThe Daily Showの番組中にも、イヤというほど出てきますので(笑)。

これに対してウィーナー議員は、そんな写真を送った覚えはない、誰かのイタズラだ、Twitterアカウントがハッキングされたんだ、と主張していました。

まあ、あり得ないことではないです。Twitterアカウントには、パスワードさえ分かればどこからでもアクセスできてしまいますし、うっかり簡単なパスワードを使っていて類推されたりしたら、誰かに勝手に変な写真を送られてしまったりすることは、あり得なくはない。

しかし、この下着越しの下半身写真が自分のものかどうかと聞かれたら、ウィーナー議員、どうも歯切れが悪かった。「どんな写真が出回っているかわからないし、フォトショップってものもあるし...」と、自分の写真であることをはっきり否定していなかったのですな。それでみんな、疑いをぬぐい切れなかったわけ。

と、この段階でのThe Daily Show

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/2

ジョン・スチュワート:この話は本当に気が重いよ。こいつは友だちだし、尊敬しているし、いつものデイリー・ショー全開の扱いはしたくないよ。

トム・ブロコウ(ニュースキャスター)のモノマネの声:では、やめておきたまえ。

ジョン:誰?

トム・ブロコウ天使:ゴシップに走ってはいかん。本当のニュースをやるんだ。

ジョン:その通りだ、ニュースの天使トム・ブロコウ!

ドン・リックルズ(コメディアン)のモノマネの声:何甘いこと言ってるんだ?お前はコメディアンだろう?ウィーナー(※俗語でペニスの意味もある)って名前の男のウィーナーの話だぞ!めったにない極上ネタだろうが!

ジョン:クソッ、コメディの悪魔ドン・リックルズ、あんたも正しい!でも、アンソニー・ウィーナーはぼくの友だちなんだよ!

ドン・リックルズ悪魔:友だち?コメディアンに友だちなんぞいるか!

偽R・ケリー(政治家のセックス・スキャンダルネタには必ず登場する謎のキャラ)が登場:♪やろうぜ!

ジョン:本当に、こんな立場じゃなかったらと思うよ。この件に対する議員の対処のやり方は、ますます傷を深くしているようだ。

偽R・ケリー:♪いい加減なデタラメ!

ジョン:議員、あなたが本当に、ツイッターのフォロアーの若い女性を誘惑するために自分のペニスの写真を送ったのなら、辞職した方がいい。でも、自分のコンピューターに自分の下半身写真を保存していただけだったら...

偽R・ケリー:♪誰でもやってることさ!

ジョン:自由の国なんだから!

偽R・ケリー:♪俺なんか、毎日アソコの写真を撮ってるよ!

ジョン:ほんとに?

偽R・ケリー:♪フロで!

ジョン:携帯が壊れるよ!

偽R・ケリー:♪車でも!

ジョン:それ、危ないんじゃない?

偽R・ケリー:♪スシ・バーで醤油をつけて!

ジョン:それは変!

偽R・ケリー:♪ワサビに気をつけて!

ジョン:つまり議員、言いたいことは...もしただのイタズラで、プライベートな写真が出回ってしまっただけの話なら...コメディアンとしての利益には反したことを言うけど、正直にホントのことを話せよ!

偽R・ケリー:♪真実を露出しろ!

ジョン:真実を暴露する時だ。

偽R・ケリー:♪テーブルに載せろ!

ジョン:......??

偽R・ケリー:♪醤油もつけて!

...いかん、ここはサラっと済ませて次にゆく予定だったのに、つい面白くて(汗)。

これが6/2木曜日の放送。ところが、週が明けて6/6月曜日の午後、ウィーナー議員は緊急記者会見を開き、そこでとんでもないことが明らかになり、ジョンも巻き込んで流血の事態に...(<誤解を招くまとめ方)

つづきます。