旧友のスキャンダル(ここ最近のThe Daily Show)その2

一昨日のつづき。

6/6(月)午後、ウィーナー議員は緊急記者会見を開き、問題の下半身写真はたしかに自分のものであること、そして送ったのも自分であることを認めました。そこまでは、誰もが想像していたことなんですが...問題は「なぜ送ったか」の部分。つまり議員は、ツイッターフェイスブック、メールなどで、きわどいH話を楽しむ(やらしー写真も送り合う)相手を、複数持っていたわけです。

こういうのを「sexting」と言うそうで。まあ、「テレホンセックス」のネット・テキスト版?英語で、携帯メールのことをtextingと呼ぶので、それとsexを合わせた新語らしい。(関係ないけど、私は「Glee」でこの言葉を覚えました。)

どうやら議員は、ツイッターのDM(ダイレクト・メッセージ 送った相手にしか読めない)機能を使うつもりで、うっかり普通のリプライ(フォロワーのタイムラインには表示されないが、読もうと思えば誰でも読める)で写真リンクを送ってしまったようです。すぐに気づいて削除したものの、その僅かな間に、彼のツイッターでの挙動を怪しいと思ってぴったりネットストーカーしていたアンドリュー・ブライトバートという保守派三流ジャーナリストが気づいてすかさず保存し、世間に公表した..という経緯のようです。

ちなみに、アンドリュー・ブライトバートについては2010/7/28のエントリーを参照。ウィーナー議員の記者会見にはブライトバート自身が乱入して議員に謝罪を求め、議員も謝罪せざるを得なかったという一幕もあって...

今回のことでは、sextingよりも何よりも、とにかく「彼のアホな挙動のおけげで、ブライトバートみたいな人間の信頼性を回復させてしまった」という罪でウィーナーを許せん!というリベラル派も多いようです。まったくねえ。

ウィーナー議員は、そのsexting相手の女性たちとは、直接会ったことはないと言っています。でも、このスキャンダルが、普通の不倫スキャンダルと比べて「マシ」かどうかは、微妙ですなあ。sextingしていたというだけなら、まあ大した問題じゃないし、彼と奥様の間の問題ですが...議員としての彼に好感を持ってツイッターでフォローしてきた見知らぬ女性に、まあ仮に女性の方から「あなたは超セクシー(はぁと)」みたいなリプを送ってきたとしても...それに対して、(少なくとも)H話をやりとりするような関係になることが目的でノリノリのリプを返すというのは...キモすぎてドン引きだわ。第一、ツイッターなんぞでこんなヤバいことをしていてバレないと思うのがアホすぎだし、相手が未成年だったらどうするつもりだったんだ。

10年以上も愛人がいて子供まで作っていながら、知事在職中はしっかり隠し通したシュワちゃんとは何たる差。(<どっちもホメてないよ。)

まあ、それはともかく...とにかく、この記者会見が行われたのが月曜の4時半ごろからだったわけです。

これは以前に新聞の記事で読んだのですが、The Daily Showの1日のスケジュールは、朝8時ごろジョンと脚本家がミーティングをして、前日のニュースからどのネタを扱うか決め、午前中に脚本を書き、昼頃からジョンがレビューして脚本を直してゆき、午後2時ごろにだいたい脚本が固まって、その後グラフィックや小道具を揃えて、4時ごろからリハーサル、5時過ぎから外に並んでいる観客を入れ始め、6時ごろから収録...というタイムテーブル。つまり、普通なら、午後の4時半から始まった記者会見のネタをその日の番組に反映するのは不可能なのです。

でも、この日の番組に、ジョンは何とかウィーナーの記者会見ネタを突っ込んでいました。多分ぎりぎりで脚本を書き直し、観客はいつもより長く待たされたことと思います。

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/6

ジョン・スチュワート:そして東部標準時4時25分、このニュースは公式に...悲しくなった。

ところがねー。いつものことですが、この月曜のセグメントが短く、わりとあっさりしていたことを取り上げて、ジョンはウィーナーの友人だから手加減している、いやウィーナーが民主党でリベラル派だから扱いが甘いんだ、共和党議員のスキャンダルは大喜びでネタにするくせにダブルスタンダードだ、などなど、ごちゃごちゃ言う記事の多かったこと!

民主党議員だから甘い、というのは完全な言いがかりですけどね。ジョンはクリントンのときはもちろん、民主党エリオット・スピッツァージョン・エドワーズのときも、それこそ「大喜びで」ネタにしてましたがな。逆に共和党員のスキャンダルでも、話の展開がイマイチ面白くない場合は、あんまりネタにしていない。(シュワちゃんのネタだって、1度ちらっと触れただけ。)共和党のラリー「俺は歩幅が広いんだ」クレイグや、サウスカロライナ知事のマーク「アパラチア山脈をトレッキングしてました」サンフォードは、あれはネタが面白すぎたんだって。(知らない人はググって下さい。)

それに、民主党/共和党、リベラル/保守に対する「ダブルスタンダード」ならともかく、友人に対してアカの他人と扱い方が違うのを「ダブルスタンダード」と非難するのも変な話で。違うスタンダードが適応されるからこそ「友人」なんだろうが。

しかし、ジョンにとって不幸なことに、このスキャンダルの展開は、まさに「ネタが面白すぎて扱わざるを得ない」方向に、どんどん進んで行ったのでした...

つづきます。