【映画感想】Bridesmaids ☆☆☆1/2

<あらすじ>アニーは小さなケーキ店をオーナーパティシエとして経営していたが、共同経営者で恋人の男に逃げられて店は倒産。お金も将来の展望もなく、親のコネで雇ってもらった仕事を嫌々しながら、セックスだけが目当ての軽薄男とダラダラ付き合う日々。そんな時、幼い頃からの親友リリアンが婚約、メイド・オブ・オーナー(花嫁の筆頭付き添い役)にアニーを指名した。しかし、ブライドメイド(花嫁付き添い役)の一人はリリアンが「最近知り合ってすぐ親友になった」ヘレンで、美人で大金持ち。アニーとヘレンは、花嫁の親友の座をめぐって対抗意識を燃やし合い...

結婚とイベントは、もちろん結婚する二人が中心ではあるけれど、花嫁花婿の友人たちにとっても、友情を深める(またはぶち壊す)機会でもあるわけですね...

面白かった。面白かったのですが、イマイチ楽しめないところも...それは、ヒロインのダラしない、自分勝手な行動に、いちいちカリカリくるからなんですよね私は。(「お買い物中毒」シリーズもそうだったし...私って、ちょっとそういうとこ、うるさすぎなのかなあ。)まあ、自分は人生どん底のところに親友のめでたい話、しかもあらゆる面で完璧なヘレンに親友まで奪われそうで、ついアホなことをしてしまうってのは分かるのだけどね。それにしたって、花嫁のことをまず第一に考えるべきときに、自分の感情でみんなを振り回して結婚前のイベントをことごとくぶち壊しておいて「あー私って可哀想」みたいなウジウジぶりに、いい加減にせい!と言いたくなる...

ま、前半でそういうダメダメぶりを発揮してこそ、後半の立ち直りなのですけどね。でも、落ち込んだあまりのダメぶりをこれだけ描写するのなら、落ち込んでいる理由(ケーキ店が潰れたいきさつ、前の男と別れたいきさつ)を、もっとちゃんと描写した方がいいような気がしたのですが。

とは言え、この映画、やっぱり嫌いになれないのですよねー。なぜなら、こういう風に女同士の関係を中心に描いた映画って、なかなかないからなんです。

「40歳の童貞男」とか「ハングオーバー」とか、男同士がワイワイガヤガヤと、ダラシなさも自分勝手さも変人(変態?)ぶりも発揮しながら、それでも底ではしっかり友情で結ばれている、という映画は結構あって、私はそういう映画が大好きなのですけど...女性版はなかなかない。(「Sex and the City」が、ちょっとそれっぽいかな?でも「SATC」はテレビ版は大好きだけど、映画版には問題ありすぎなんだよなあ。)

女性主人公だと、あくまで中心は恋愛(男との関係)で、ヒロインの友人はあくまで「ヒロインの友人」で恋愛を応援する(あるいは、友人の恋愛がエピソード的にはさまれてヒロインの恋愛と対比される)というパターンが多い。その点この映画は、中心となる女たち(花嫁のブライドメイズ)はそれぞれ恋愛(and/or結婚)しているのだけど、相手の男たち(ヒロインの相手は除く)はほとんど顔もろくに映らず、あくまで女と女の関係を中心に進行するところがいい。

<以下ちょいばれ>

主役のアニーの恋愛関係は、さすがにちゃんと描かれていますけどね。新しい恋人になる警官が、なかなか良い感じ。どちらかと言うと、男性主人公映画のヒロインの役廻りに近いかもしれない。主人公に、自分のダラしないところ、自己中心的なところを気づかせるしっかり者で優しい恋人、という意味で。(初デートで盛り上がって勢いで一夜を共にして、翌朝「昨夜のことは間違いだった」と言ってさっさと帰ったりしたら、男だって傷つくよなあ。「後腐れなくセックスだけできてラッキー」と思うような男ばかりじゃないでしょ。車のテールランプを修理しないアニーにぶち切れるエピソードが象徴的に使われているのも上手い。)

とにかく、そういうところが貴重な映画なだけに、描写に「もっとこうすれば」が多いのが惜しいのですよねー。ブライドメイズも、アニーとヘレンと「変人系」担当のメーガン以外は、あんまりキャラクター・ディベロップメントがなかったのが惜しい。特に、3人の男の子の子育てに忙殺されている主婦で、ベガスでのバチェラロット・パーティ(バチェラー・パーティの女性版)で羽目を外すことに期待しまくっているリタなんかいいキャラで、あまり描写されず終わってしまったのが残念。

彼女が「たまには、旦那とお義理のセックスをしながらじゃなく『デイリーショー』を見たいわ」と言うセリフがあったけど...デイリーショーを「ながら見」している人って、アンソニー・ウィーナーだけじゃないんですね(笑)。気分を高めるとは、到底思えないのですが...