How I Met Your Mother(ママと恋に落ちるまで)にハマり中。(2)

「How I Met Your Mother(ママと恋に落ちるまで)」の主要キャラは男3人、女2人、「フレンズ」より一人少ない5人グループ。「運命の女性」を探すテッド、テッドの親友でルームメイトのマーシャル、マーシャルの婚約者リリー、遊び人のバーニー、初回でテッドが一目惚れしたことがきっかけで仲間に加わるロビン。

一応テッドが主人公なのですが、この番組を面白くしているのは何と言っても、ニール・パトリック・ハリス演じるバーニー・スティンソンのキャラだというのは衆目の一致するところでしょう。

多分、最初の設定では、「主人公のプレイボーイの友人」という、単なるコミック・リリーフ的役柄だったと思うのですけどね。役者が優秀だと、キャラが勝手に育ってしまうということでしょうか。

バーニーのキャラを一言でいえば、ナンパに命賭けてる男。

でも、「軽い」とか「いい加減」とかいうのとは、ちょっと違うのですよね。「命賭けてる」と言ったら、文字通り、「命賭けてる」ので(笑)。「フレンズ」のジョーイのような、立ってるだけで(あるいは「How you doing?」とか言うだけで)モテるというタイプではないので、彼がナンパに傾注するエネルギー量ときたらハンパない。彼がテッドに「教育」する様々な「必勝法」、質のよいスーツへの異常なまでのこだわり、女性をダマすために次から次へと繰り出される大げさな嘘や芝居、ナンパ相手を追っていきなり飛行機でフィラデルフィアへ飛んでしまうフットワークの軽さ...

まあでも、人間としてはかなり壊れているとは思うが(笑)

最近のエピソードでは「Sciopath(社会病質者)」とか言われてたし。

とある女性「こちらはバーニー、高機能ソシオパスで私のモトカレよ。」(第6シーズン)

また別の女性「あなたは面白いし、ハンサムだけど、はっきり言ってソシオパスだと思う。」
バーニー「長所が2つ、短所が1つだね。」

(第7シーズン)

この間見たドラマ「シャーロック」(シャーロック・ホームズの現代版)の、「ぼくはサイコパス(変質者)じゃない、高機能ソシオパスだ」というセリフを思い出した。『高機能ソシオパス』仲間(笑)。エネルギーを傾注する対象を、犯罪捜査からガールハントに変えれば... (えらい違いだが)

んで、第1シーズン15話の「バーニーの恥ずかしい告白」(Game Night)を見ると、「女たらし」という部分は、必ずしも彼の本質ではないという気もするのですよね。むしろ、対象がナンパでなくても、何でも「こうしよう」と心に決めると、「危険もまわりの迷惑も顧みず全エネルギーを傾注する」というところに、バーニーのバーニーたる所以があるので。決まった女性と真面目に付き合っていた時は、彼女に全情熱を注いでいた一方、一人でも多くの女性を落とそうと決めたら、それはそれでまたとんでもないことに...

極端から極端に走るやつなのです。

でもたまに、その「ハタ迷惑なほどに全エネルギーを傾注」する傾向が、家族への愛情や仲間への友情に向けられると、それは彼のとてつもなく優しい一面となって表れるので...憎めないのだよなあ。

とにかく、いいキャラです。他の4人、特にテッドとロビンは、最初はあまり特徴がなくて、第3シーズンあたりからようやく面白くなってきたのだけど、バーニーは初回からずっとキャラ立ちまくり。看板キャラとして番組を引っ張っている感じ。(他の4人には悪いけど、ニールは役者としての『格』が違うなあ、と感じることもしばしば...)

前にも何度か言いましたが、テレビや映画のキャラクターというのは、脚本家と役者の共同作品だと思っています。特にテレビシリーズの場合は製作期間が長いので、脚本家が書いた役を役者が演じて、脚本家がその演技からインスパイアされて次を書く、というように共同で「育てて」ゆく面が大きい...と思う。

さて、バーニーを演じるニール・パトリック・ハリスは、2006年(この番組が始まった後)に、ゲイであることをカムアウトしているわけですが...

(つづく)