旧友のスキャンダル(ここ最近のThe Daily Show)その3

さて、そのような経緯があった後、衝撃の緊急記者会見から一夜明けた6/7火曜日のThe Daily Show。ジョンは、ウィーナー記者会見のパロディで番組を始めました。

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/7 Jon Stewart Press Conference

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/7 John Oliver Takes Over

(やたらに字幕解説が出る、24時間ニュースTV局の記者会見中継のやり方をパロディにしています。)

サブタイトル:「このあと:ジョン・スチュワートの記者会見」

アナウンサー:ジョン・スチュワートが登壇しました。記者会見が始まります。

(ジョン、登場早々、ペットボトルの水を飲む)

ジョン・スチュワート:お集まりいただきありがとうございます。これより、ここ10日間ほどの私の行動に関して、疑問を晴らしたいと思います。

サブタイトル:「ジョン・スチュワート:TVコメディアン」

ジョン:私は自分の行動に全面的責任を取ります。私は...いくつかの間違いを犯しました。そして、身近な人々を傷つけました。

サブタイトル:「ジョン・スチュワート:『私は間違いを犯した』」

字幕解説:「人前で話す人は、喉を潤すためと、次に何を言うか考える時間を稼ぐために何か飲むことがある。」

ジョン:先日、ある下院議員、その名前が生殖器の別名と同じである下院議員が、ある若い女性に...それの写真を送りました。このことは、いかなる基準においても、コメディアンにとって、神...の代わりに彼らが崇める何かからの贈り物ではありません。

字幕解説:「コメディアンはウイスキーと潰瘍の薬に祈りを捧げる。」

ジョン:先週、我々は3日分の番組でこの話を取り上げ、59種類以上のジョークを言いました。ペニスにひっかけたダジャレが9種類、R・ケリーのモノマネを使って「クローゼットに隠れて」風の解説もやり、私自身も、「f**ked up」という言葉を10回使いました。

字幕解説:「***ネタのジョークを数えされられたインターンにお詫びします。」

ジョン:私は下院議員の個人的友人であることを認めましたが、彼が正直に話していないと考えていたことを表明し、もし疑惑の最悪の部分が事実なら、辞職すべきだと言いました。そして、もういちど「f**k」という言葉を使いました。

サブタイトル:「コメディアンのニュースキャスター、謝罪」

サブタイトル:「スチュワート、変態の友人に辞職をすすめる」

(ジョン、演台の下からシェイカーを取り出し、ピンクのカクテルをグラスに注ぐ)

字幕解説:「コスモポリタンは、HBOのシリーズ「Sex and the City」で人気が出たカクテルである。」

ジョン:(コスモを飲んで)うーん、おいしー。

サブタイトル:「スチュワートは自分自身を『サマンサ』タイプだと思っている。」

ジョン:昨日、下院議員は、問題のペニスは実は、彼自身のものだと認めました。

サブタイトル:「ウィーナー:『あのでっかいペニスは私の』」

ジョン:彼は、午後4時半の記者会見でそう認めました。我々は午後6時から番組を収録します。私は、決断を下しました。いくつかウィーナーネタのジョークをやって、記者会見に言及するが、基本的にはすでに脚本を書いてあったジョン・エドワーズとサラ・ペイリンのネタでゆこうと。

サブタイトル:「スチュワート:『サボリなので、5時以降にはジョークは書かない』」

ジョン:これは私の決断であり、私自身が一人で決定したことであります。それが間違いであったことは承知しています。

(ジョン、演台の下からブレンダーを取り出す)

字幕解説:「フローズン・マルガリータの主な消費者:ティーンの女の子とジョン・スチュワート」

(ジョン、フローズン・マルガリータを作り、ブレンダーを止めようとするが、止まらないのでグラスを持った手で叩く。グラスが割れる音。)

ジョン:(自分の手を見て)...まずいな。

(ジョン、割れたグラスからフローズン・マルガリータを飲む)

ジョン:(笑)あー、多分、後で病院行かなきゃならないと思う...F****K!(真顔に戻って)私は、大事な人々に苦痛をもたらしました。スタッフ、視聴者...私の素晴らしい、エキゾチックな家族...

(アジア系の奥さん(偽)と黒人の息子(偽)が手を振り、白人の息子(偽)が中指を立てる)

ジョン:私は昨日の番組で、ウィーナー氏が嘘をついていたとはっきり言いませんでした。彼がウソツキで、パンツに火がついていることを指摘しませんでした。議員にとって不幸中の幸い、火災安全装置はついていますが...

字幕解説:「スチュワートの友人の下半身への執着はキモくなってきている」

ジョン:そのような理由から、議員と違って、私は辞職することを決意しました。...いいえ、聞いて下さい!

ジョン:私は、その英国アクセントが偽の信頼感を与える人物に、司会の座を譲りたいと思います。ジョン・オリバーです。

字幕解説:「ジョン・オリバーは2007年からThe Daily Showに参加している。」

サブタイトル:「オリバー:信頼できる英国人」

ジョン・オリバー:ありがとうございます。最初に、視聴者の皆様にお約束します。もう、ビビったりしないことを。【中略】私はアンソニー・ウィーナーをしつこく追及し、容赦なくバカにし、彼の恥が誰の目にも明らかになるまで、隠しきれなくなるほどふくらんで、布を突き破って外に飛び出しそうになるまで...今回は、ハッピー・エンディングはないぞ、ウィーナー!

字幕解説:「Double Entendre:「二重の意味」フランス語」

ジョン・オリバー:そして、スチュワート、君については...あー、君とその、明らかにケガしてる手については...それ、ほんとにマズいから。

ジョン:(血が出ている手を見せて)F**K!...これ、早く終わらせないと出血多量になるよ、Motherf**ker!

(スタッフがペーパータオルを差し出す)

オリバー:大丈夫だって!そこでユダヤ系っぽさをアピールしなくていいから。

ジョン:むしろカソリックになって、これを飲み物にすればいいわけ?

...1ブログエントリー当たりのお下品基準値を超えたので、このへんにしておきます(笑)

しかし、ジョンは横顔になると、ウィーナーさんにちょっと似てるのよね。同年代だし、ユダヤ系だし...ジョンの方が老けて見えるけど。まあウィーナー氏は、議員会館のジムにせっせと通って、どうやらエステにも行っていたようだし...w

「友人だから扱いが甘い」と批判されたことを逆手に取った、見事なパロディでした。

逆手にとりすぎて、勢い余って手をケガしてしまいましたがね(笑)。このアドリブがあったから、余計に面白くなったと思います。ジョン・オリバーとのアドリブの息の合い方と言ったら、うむ、素敵だ...

(ちなみに、これは記者会見中継のパロディなので「LIVE」と出ていますが、本当に生放送なわけではないです。でも、デイリーショーは、アクシデントがあってもめったに撮り直しはしないのですよね。客前で収録しているし、アクシデントでかえって面白くなることが多いので。)

このスキャンダルは、ジョンにとって長年の個人的な友人の話であり、でもだからと言って、あまりにデイリーショー向きのネタなので扱わないってわけにもゆかない、どう扱っても外野からは文句を言われるに決まっている、実にやりにくいネタだったと思いますが...

まあ、いろいろ見方はあると思いますが...私はジョンは、友人をことさら庇ってはいないし、ことさら厳しくもしていないと思いますが...一つ感じたのは、自分自身をあえて全面的に巻き込むことによって、絶妙なバランスを取っているなあ、ということです。この話を扱う時は、ジョンはウィーナー議員が自分の昔からの友だちであることを必ず、しつこいほどに口にしているし、この記者会見のパロディなんて、スキャンダルそのものではなくて、「自分がそのスキャンダルをどう扱ったか」の話にしてしまっているし。

翌日の水曜日の番組では、お相手のひとりのベガスの女性が暴露したsexting内容に「The Daily Show」が言及されていたことをネタにしていたし(ま、これはその女性が、デイリーショーでネタにしてほしくてわざとそこを公開したんじゃないかと勘ぐっているんですけどね、私は。)

The Daily Show with Jon Stewart 2011/6/8 The Wangover

このエントリーを書いている時点で、ウィーナー議員は辞職を否定、議会からの「病欠」を申し出ています。(民主党の幹部からは辞職を求められているようですが。)奥さん(ヒラリー・クリントンのスタッフ)から離婚話も、今のところ出ていないようです。

まあ、彼のキャリアと結婚生活の行く末は、彼自身と奥様と選挙区の有権者次第ですがね。キャリアや結婚がどうなるにせよ、個人的には何とか乗り越えて、元気を取り戻してほしいと思います。これ、完全に「ジョンの友だちだから」というバイアスで言ってますが(笑)。

追記:と、これをアップしたとたんに、ウィーナー議員が辞職を決意したというニュースが。やれやれ、いろいろ、残念なことですなあ。