プレイボーイと「肉のカタマリ」(先週のThe Daily Show)

先週のデイリーショーから。

もっぱらの話題のWikiLeaksネタや、Don't Ask Don't Tellにからんだネタが多かったのですが、なぜか気に入ったのはこの小ネタセグメントでした。

デイリーショーの女性レギュラー「特派員」には、ベテランのサマンサ・ビーと最近入ったオリビア・マンがいるのですが、他に時々登場する「コントリビューター」としてクリスティン・シャールがいます。

The Daily Show with Jon Stewart 2010/11/30

レギュラーのサマンサやオリビアが特に「女性」とは関係ないネタをやるのに対し、クリスティンは「シニア・女性問題特派員」という肩書で、フェミニズムに関連したネタ専門で時々登場します。

サラ・ペイリンを扱ったこの回とか、ヒラリー・クリントンを扱ったこの回とかが面白かった。

さて、今回は、雑誌「プレイボーイ」や「プレイボーイ・クラブ」で財をなしたヒュー・ヘフナー翁の話。さすがの老プレイボーイも出版不況の波には勝てなかったのか、資金繰りに困っているらしく、有名な「プレイボーイ・マンション」を売りに出しているという小ネタを元にしたセグメント。

ジョン・スチュワート:ワオ、ヒュー・へフナーはそんなに金に困っているのか。金を稼ぐ確実な方法と言えば...そうだ、裸の女性の写真を売るってのは?...何?...それはもうやったそうだ。

この問題について、「シニア・女性問題特派員」のクリスティン・シャールに聞きましょう。

意外にも、ヒュー翁に同情的なクリスティン。

クリスティン:そりゃ、ヒュー・ヘフナーの「プレイボーイ」は女性をモノ扱いして、肉のカタマリみたいに扱ったかもしれないけど、最近のインターネットに比べれば、高級レストランで上等なソースをかけてある肉みたいだった。プレイボーイのロゴさえ上品でしょ?ウサギが蝶ネクタイをしてる!ペントハウスの「コアラのヴァギー」よりずっと上品よ。ヒュー・ヘフナーは家族を大事にするし。112歳の男性が、孫娘たちと一緒に暮らしてるなんて、親切じゃないの!

ジョン:あー、それ、孫娘じゃないと思うけど...

クリスティン:何のこと?

ジョン:...何でもない。

クリスティン:ヒュー・ヘフナーは、「裸の女性は、やる気になれば何でもできる」と、女性を励まし続けてきたわ。藁の山を作ったり、アンティークのジュークボックスを修理したり、昔風のソーダ・ショップで働いたり...ガラスの天井を打ち破るには、まずガラスにおっぱいを押しつけることだと!

ジョン:「プレイボーイ」が職業訓練雑誌だって言うこと?

クリスティン:そうよ。最初は洗車屋でも、今に脳外科医になるかもしれないでしょ!

ジョン:そのうち、服を着て仕事できるようにもなるの...?

クリスティン:女性の賃金は今でも男性より低いのよ。どっかで節約しなきゃでしょ?

ジョン:それで、君の提案は?

クリスティン:今こそ、女性たちがヒュー・ヘフナーに恩返しをする時よ。レディース、貯金をはたいて、「プレイボーイ・マンションを救え」ファンドに寄付するのよ!コーヒー2杯分のお金で、老人を救うことができるのよ。1-877-WOMANSIONにすぐ電話してね。

ジョン:電話、鳴ってるけど...

(電話のそばには、肉やソーセージが置いてある)

クリスティン:ヒュー、大丈夫よ!すぐお金を作るからね!

ジョン:クリスティン...あれ、肉のカタマリだけど。

クリスティン:(驚いたフリで)肉?!あらまあ!どうしよう!肉のカタマリは、電話に出ることはできないんだったわ!まったく、大失敗!これも、女と肉のカタマリを区別できなくなったせいね!ヒュー・ヘフナーにとって、なんて残酷な皮肉なんでしょう!ノーーー!

デイリーショーのファンフォーラムとか読んでいると、クリスティンはやたら不人気なんですけどね。私は、最近わりと好きなんですが...どうも、あのべちゃべちゃ甘ったるい喋り方が評判悪いらしい。アメリカでは、ああいう喋り方の女性はとりわけ嫌われるようです。

ああいう甘ったれた声の女性に、よりによってフェミニズムの問題をやってほしくない、という投稿もありました。

しかし...私は、特に最近思うのですが、クリスティンのようなべったり甘い声の、きょとんとした目で、一見何にもわかってないお馬鹿のように見える女性がこういうネタをやるからこそ、シャレが効いて面白いのではないでしょうか。サマンサのように働く三児の母で、見るからにしっかりしたタイプがやるよりも。

特に今回は、クリスティンのそういう、すっとぼけた個性が生かされたセグメントで、フォーラムでも評判は上々のようでした。