最も小さき者(コルベア氏、ワシントンに行く)2

昨日の続き。スティーブンの、議会での証言のオープニング・ステートメント、キャラクターの『スティーブン・コルベア』として行った証言、質疑応答の一部の翻訳です。

http://www.youtube.com/watch?v=k1T75jBYeCs

(オープニング・ステートメント

おはようございます。私はスティーブン・コルベア、TVパーソナリティで、コメディアンで、ニューヨークの住人です。今日は、委員会とそのメンバーのみなさんに、私の証言を記録するための時間を取っていただいたことと、その広いお心に感謝いたします。

2010年7月、アリゾナの移民法が議論を巻き起こしていた最中に、私は番組に、アメリカ農場労働者組合の委員長であるアルトゥーロ・ロドリゲス氏をゲストとして招き、カリフォルニアのセントラル・バレーにおける収穫に与える影響について話し合いました。インタビューと、その後の会話で、私は「我々の仕事を奪え(Take Our Jobs)キャンペーン」について知りました。これは失業したアメリカ人に農場の仕事をオファーするもので、必要な訓練を提供し、全国的な農業労働者の慢性的不足を解決しようと試みるものです。熱心に活動したにもかかわらず、このプロジェクトに参加したのはたった3人でした。コメディアンとして、また風刺家として、私のキャラクターを肉体労働に従事させてみるという誘惑に抵抗できませんでした。私は4人目になる約束をしました。

長年、農場労働者の権利のために活動してきた下院議員のゾエ・ロフグレン氏と共に、私はニューヨーク州北部に行き、10時間のあいだ豆を摘み、トウモロコシを箱詰めし、アメリカの農場と農民が直面している厳しい現実を学びました。多くの農場が閉鎖の危機にあり、作付量を減らしたり別の作物に転換したりしています。新鮮な食物、野菜の生産は外国に移りつつあります。2007年から2008年の間に、アメリカの農業は、少なくとも農地84,155エーカーと22,285人分の仕事をメキシコに移動させました。全米で156万エーカーの農地が閉鎖されています。156万エーカーは、デラウェア州の二倍の面積です。

私に証言する機会を与えて下さってありがとうございます。

(ここから「キャラクター」としての証言)

おはようございます。私はスティーブン・コルベアです。アメリカ市民です。今日ここで証言できるのは、名誉であり特権であります。ロフグレン議員より、移民農場労働者として一日を過ごしたという広範な経験を、皆さんにお伝えするように頼まれました。私のセレブ力により、この重大な複雑な問題に関心を集め、私のスター・パワーでこの聴聞会がC−SPAN1で中継されるほど注目されますように。

今までの議論にもありましたように、アメリカの農業は、野菜や果物の収穫において移民労働力に依存しすぎています。一番明白な解決方法は、野菜と果物を食べるのをやめることです。最近の肥満率の統計を見ると、多くのアメリカ人はすでにこの解決方法を始めているようです。

あいにく、私の主治医は、野菜と果物は消化器にとって必要不可欠なものだとはっきり宣言しました。証拠として、私の大腸内視鏡検査のビデオを提出させていただきます。

もちろん、外国から労働力を輸入するのは、偉大な国々の伝統のひとつでした。世界初のフード・ピラミッドは古代イスラエル人によって築かれました。でも、ここはアメリカです!私は自分の食べるトマトを、メキシコ人に収穫してほしくありません。アメリカ人が収穫し、グアテマラ人が切り、ベネズエラ人が給仕することを望みます。チリ人がブラジル式ワックス脱毛をしてくれるスパで。

私の曾祖父が4000マイルも旅してこの国にやってきたのは、この国が移民の手に渡るのを見るためではありません。彼がこの国にやってきたのは、故郷のアイルランドで人殺しをしたからです。これは単なる噂ですので、記録からは削除して下さい。

私は、この仕事を移民にやってほしくない。だから、キング議員に賛成です。国境は封鎖しなければならない。ここにいるアトゥーロは言うでしょう、「それでは、誰が収穫をするんだ?」と。私は答えます。まず、「私が話している時に口をはさむな、失礼だよ」と。第二に、私は農場労働がアメリカ人のやりたがらない仕事だということは信じません。本当に?誰もやりたがらない?私はやりました。私の番組のシリーズ、「スティーブン・コルベアの、いざという時の職業」で。これは、私が他のいろいろな仕事に挑戦し、今の自分の仕事の方がずっといいということを確認するシリーズです。

私はUFWの「我々の仕事を奪え」キャンペーンに、たった16人の応募者の一人として参加しました。もっとも、この数字はもうすぐ増えるかもしれませんね。11月の選挙が終わったら、多くの民主党議員が仕事を探すことになるでしょうから。

たしかに、仕事を始める前、私は移民労働者への偏見を持っていました。しかし、何時間も一緒に、照りつける太陽の下で豆を摘み、トウモロコシを箱詰めした後、私は心の底から申し上げます-「どうか、二度とやらせないでください!」と。とっても、とっても辛い仕事でした!

たとえば、豆を摘むためには、ずっとかがんでいないといけないのです。私は知らなかったのですが、ほとんどの畑というのは、足元の高さにあるのです!月に人を着陸させるほどの科学があるなら、どうして畑を腰の高さにできないのでしょう?どうして研究費を助成しないんですか?!

この短い経験から、どうして多くのアメリカ人が、季節農場労働者としての輝かしいキャリアをスタートさせようと殺到していないのかが少し理解できました。それでは、解決法はどこにあるのでしょう?私は自由市場の信奉者です。私はたいてい、「神の見えざる手」を信じています。しかし、「見えざる手」はすでに、84,155エーカーの農地と22,285人分の仕事をメキシコに移動させ、何百万エーカーもの農場を、労働力不足のために閉鎖に追い込みました。どうやら、「見えざる手」でさえも、豆を摘むのはいやなようです。

私は、政府が産業に手を出すことには反対です。でも、一体どうして、政府は何の手出しもしていないのですか?もしかしたら、この「Add Jobs」法が役に立つかもしれません。わかりません。ほとんどの議員のみなさんと同じく、私も議案を読んでいないから。

しかし、どのみちやらなければならない仕事です。もっと多くの移民にビザを与えたらどうですか。そして、不当に搾取された時には対抗できるようにするべきです。それが理にかなっています。もし、易々と搾取できる労働者がいなくなれば、他の労働者が搾取される可能性も減り、そうすれば、農場の賃金や労働環境も改善され、最終的には、この仕事に就きたがるアメリカ人も再び現れるかもしれません。

あり得ないことかもしれません。科学者たちが、自動的に自らを収穫する作物を開発する方がまだ簡単かもしれません。「Fruit of the Loom」の遺伝子科学者は、人間と果物のハイブリットを開発したようですし。

つまり、言いたいのは、とにかくなんとかすべきだということです。私は、あの農場に戻るつもりはありませんから。あれ以来、サラダ・バーを見るだけで冷や汗が出るんです。

改めて、ここで証言できたことは名誉であり、特権であり、重大な責任でした。この証言の後、みなさんはアメリカ国民の利益のために働いてくれるものと信じます。いつものように、両党が力を合わせて。

この後、質問にお答えして、それからお孫さんたちのために、写真にポーズをとります。最後に、USA、No1!

この後、スティーブンは議員たちからの質問に答えたのですが、その中で特に印象に残ったのは、カリフォルニアの女性議員からの「いろいろな社会問題がある中で、どうしてこの問題に特に興味を持ったのですか?」という質問に対する、スティーブンの答えです。

http://www.youtube.com/watch?v=nxeIO4pW05s
(3:40のあたり)

私は、力を持っていない人たちについて話すのが好きです。そして、アメリカで最も力を持っていない人々が、移民労働者であるように思いました。我々の仕事をするために来て、仕事をしても、何の権利も得られない人々です。それなのに、我々は彼らを招き入れ、同時に出て行けと言っている。興味深い矛盾です。「わたしの兄弟のうち、最も小さき者にしたことが(私にしたことだ)※」という聖書の言葉をご存じですね。現在、彼らこそが「最も小さき者」に思えたのです。この厳しい経済のもと、たくさんの人々が「最も小さき者」になっています。他の人々の苦労を過小評価する気はありません。しかし、移民労働者は苦しんでいて...何の権利も認められていないのです。

すごーく、スティーブン(キャラでなく素の)らしい答えで、ちょっとうるっときました。

※マタイによる福音書 第25章45節:イエスの言葉。