State the Obvious 当たり前のことを言う(先週のThe Colbert Report

The Colbert Report 2010/8/3 Consumer Protection Agency - Barney Frank

先日アメリカで、金融機関のアコギな商売から消費者を保護する金融規制法案がめでたく可決成立しました。

http://www.cnn.co.jp/usa/AIC201007220005.html

この法案の成立に尽力したのが、以前The Daily Showに来た時のことを書いた、エリザベス・ウォーレン教授(http://navy.ap.teacup.com/kumiko-meru/1017.html)と、民主党下院議員のバーニー・フランクです。

フランク議員は「コルベア・レポート」には何度か登場している「Friend of the show」ですが、今回は衛星中継のインタビューに登場。

フランク議員は、外見はくたびれた熊のぬいぐるみみたいですが、なかなか鋭くてユーモアのセンスのある人です。

医療保険改革について全米で喧々諤々やっている頃、タウン・ミーティングヒットラーの口髭を描きこんだオバマの写真を掲げて「(国民皆保険制度は)ナチの政策です!あなたはどうしてナチの政策に賛成するんですか?」とまくしたてるクレージー女に、「あなたはどこの星から来たんですか?あなたと議論するより、台所のテーブルと議論した方がマシだ」と切り返していたほど。

今回のインタビューも、非常に面白かったです。何が面白かったかと言うとですね...

あの、何かについて議論していて、相手の議論があまりにむちゃくちゃなので論理的に反論するのが難しくてつい呆れて黙りこんでしまい、相手はそれで「議論に勝った」と思いこむ、ってことありませんか?

まあ普通の生活をしていたら、リアルライフではないかと思いますが...インターネット上ではよくありそう。

このインタビューでは、そういう時にどう切り返したらいいか、フランク議員がお手本を示してくれています。

バーニー・フランク議員が、なぜこの法律が必要なのかを説明するのですが、規制に反対の「スティーブン」は、例によってめちゃくちゃな論理で反論します。

ティーブン:でも、それは(顧客から金を絞り取ろうとするのは)銀行の本能ではないですか?虎に向かって毛皮のシマシマをなくせと言うようなものじゃないですか?鋭い歯を持っていることでサメから罰金を取るようなものじゃないですか?

フランク議員:いや、それは...(口ごもる)

ティーブン:そうでしょう?!

フランク議員:その喩えの問題点は、あまりにも意味がないので、かえって反論するのが難しいということだ。

ティーブン:つまり、ぼくが議論に勝ったってことですよ!

フランク議員:いや、勝っていない。まず、銀行は虎ではない。クレジットカードの契約書は、シマシマ柄ではない。...どうして君が、トラとチェース・マンハッタン銀行の区別がつかないのかが分からない。君が動物園に行くときは、よく気をつけた方がいいよ。

ティーブン:どうしてリベラルは、エリザベス・ウォーレンがこんなに好きなのですか?たしかに、魅力的な女性ですが。

フランク議員:そうだが、私が彼女を称賛する理由はそれじゃないということは分かっているだろう?(※フランク議員はオープンゲイ。)

つまり、相手があまりにハズれたことを言ってきた場合、相手の術中にはまってシュールな議論に引きずりこまれないようにするためには、まず「State the obvious」-当たり前のことを指摘する、というのも手かな、と。ここでは「銀行は虎ではない。クレジットの契約はシマシマではない。」ということですね。

他に例をあげると、たとえば...「夫婦別姓は家族を崩壊させる共産主義者の陰謀だ!」←「今までに、夫と妻の姓が違うことが原因で共産主義になった国はありませんよ。」とか。

そんなかんじ(笑)。