【映画感想】第9地区 ☆☆☆1/2

まとめてる時間がないので思いつくままに書くが面白かった。私は怖い映画が苦手というより、エグい映像が苦手で、人が吐くシーンとか「わっ、痛そう!」とかがとにかく苦手なのだけど、これは面白かった。いや最初の方はやっぱり「うーん、これ見たのは間違いかも...」とも思ったのだけど、だんだん突き抜けてきて、「ザ・フライ」みたいなブラックユーモアっ気も出てきたのがよかった。これストーリーが、偶然だとおもうけど「アバター」とパラレルになっているところが多くて、主人公がかなりアホなのも共通するのだけど、「アバター」と違ってこちらは主人公がどうしてこういう方向にアホなのかがすごく良くわかるように描かれていて、だからこそ

<以下ちょいばれ>


主人公の忠誠心がだんだん変化してゆくところに感動があるのだ。

舞台が南アフリカってことで、もちろん人種差別とか難民問題とかのメタファーであるのだけど、そういう要素を頭に入れていなければ理解できない映画なのだけど(「ミスト」が、キリスト教プロテスタントRaptureの概念を知らなければ理解できないように)、見ている間はそういうことは忘れて物語の面白さだけに引っ張られる。しかしこれ、日本人のゼノフォビア(外国人恐怖症)っぷりを考えると日本が舞台でも成立する話かなあとかも思ったのですが、日本が舞台だと落ち込んでしまって楽しむどころじゃないかもね。

エイリアンは外見といい行動といい、生理的に嫌悪感を抱かせる描き方になっていて、映画に出てくる人権団体がエイリアンの権利を訴えているのを見て「うーむ、さすがにこれは...」とちょっと思うのだけど、もしかして南アフリカの人種差別主義者とか、日本のゼノフォビアの人には、黒人や日本在住の外国人の権利を訴える人はこういう風に見えているのかなあ、とかちょっと思いました。

しかし、最初は絶対に味方する気になれないと思っていたエイリアンを、いつの間にか応援してしまっているのが凄い。「アバター」のあの青い人たちより、よっぽど人間ぽく見えてきた。ナビよりエビ、でした(笑)。