In the Navy〜♪(最近のThe Daily Show)【ちょっぴりお下品注意報

最近の日本のマスコミの報道で、とみに不思議に思うのは、普天間基地移転の件で「日米関係が危機を迎えている」というヤツですね。だって、アメリカのマスコミでは、この件に言及した記事なんて、全〜然、見たことないんだもの。

そりゃ、アメリカでも、政府内でこの件を担当している人々は気にかけているでしょうし、聞かれりゃ「由々しき問題だ」とか言うでしょう。でも、それ以外の人は「フテンマ?何それ?」ですね。(アメリカの政治家だって自分の選挙区の有権者のことが一番なんだから、その有権者が知りもしない問題のことを、そんなに気にするかなあ。)ある問題を巡って二つの国の関係が「危機に瀕して」いたり「ぎくしゃくして」いたりしているはずなのに、一方の国民ばかりがそのことを大騒ぎして、もう一方の国民はその問題が存在するってことさえまったく知らないっていうのは...なんというか、妙なものですね。ちょっとミジメな感じ。

何しろアメリカは、それどころじゃないんですから。2つの戦争を戦い、失業率は相変わらず高く、国民生活にとってこの上なく重要な医療保険制度改革法案が成立するかどうかの瀬戸際で...そんな中でアメリカのマスコミは、エリック・マサ下院議員が男性スタッフにセクハラして辞職に追い込まれた件を報道するのに忙しいのですから(笑)。

先日パトリック・ケネディ議員が、「アフガニスタン戦争に関する重要な法案を審議しているのに、マスコミはエリック・マサのことばかり報道している」と議場でキレていたそうです。もっともな主張ですが、でもね〜、アメリカのマスコミが騒ぐのも分かる。だって、はっきり言ってこのスキャンダルって、面白すぎるんだもん

このエリック・マサという下院議員さん(ニューヨーク選出、民主党)は、自分のスタッフの男性から、「gropingされた」(つまり...触られたってこと)と訴えられて、議員辞職しました。

しかし、彼はタダでは辞めなかった。「私はハメられた、私が医療保険改革法案に反対しているから、辞職させられたんだ。ラーム・エマニュエル(大統領主席補佐官)は保険改革法案を通すためなら手段を選ばない」と訴えたのです。

これを聞いて喜んだのが、医療保険改革反対のキャンペーンを張っているFOXニュース。「医療改革をめぐるラーム・エマニュエルと民主党の悪辣な陰謀」をたっぷり暴いてもらおうと、早速、グレン・ベックの番組にマサ元議員を呼びました。

ところが、このマサさん、とんでもないオッサンだったのです(笑)。

The Daily Show with Jon Stewart March-10-2010 sour-gropes

エリック・マサ元議員:私が男性スタッフに触ったかって?ああ、触ったとも!息ができなくなるまで、くすぐってやったよ。その後、4人の男が私に飛びかかってきた。あれは私の50歳のバースデー・パーティだったんだ!

それって...楽しそうなパーティだ(笑)。

グレン・ベックは一生懸命、話を「医療保険改革をめぐる民主党の陰謀」の方にもってゆこうとしたのですが、マサ元議員は逆に共和党攻撃に転じる始末。結局、ベックは番組の最後に「視聴者のみなさんの時間を、1時間無駄にしてしまいました。お詫びします」と言うはめになりました。

ジョン・スチュワート:グレン・ベックは新しい「幕切れの決まり文句」を思いついたみたいだね。彼の「グッドナイト、グッドラック」を。これからは毎日番組の終わりに、「皆さんの時間を1時間無駄にしました、お詫びします。ではまた明日」と言うそうだ。

マサ元議員は民主党で、オープンゲイなどではなく、結婚していて子供もいる人です。「家族の価値」を訴え、ゲイの権利に反対している政治家が、実はひそかにゲイだったことがバレる...というスキャンダルは共和党に多いのですが...なんか、マサさんの場合、そういう人たちともちょっと感じが違うのですよね。何しろ、男性スタッフに対するそういう態度に関しての言い訳が、「私は海軍の出身だから」だそうですから(笑)。「私がいた頃の海軍は、全寮制の男子校みたいなもんだった...」ふむふむ〜。「その頃の癖で、かなり塩辛い(salty)言葉を使って、スタッフを居心地悪くさせたかもしれない...」

以来マスコミは、マサ氏の海軍時代からの、いろいろな「塩辛い」エピソードの証言を拾ってきては騒いでいるのでした。

彼の奔放発言の中で、私が個人的に気に入ったのは、彼とラーム・エマニュエルの「確執」の件です。

エリック・マサ元議員:議員会館のジムの風呂場で、すっぱだかで座っていたら、タオルひとつ身に着けていないラーム・エマニュエルがやってきて、「どうして大統領の予算案に賛成しないんだ!」と、すごい剣幕で私の胸をつついてきた。裸の男と政治議論をするのがどんなにきまり悪いものか、想像してみたことがあるか?!

...アメリカの議員さんたちって、「裸のつき合い」だったのね。

しかし...一糸まとわぬ姿で烈火のごとく怒っているラーム・エマニュエルを想像すると、わけもなく幸せな気分になったりします(笑)。

こういうのこそ、The Daily ShowColbert Reportにとって「格好のネタ」なんですよね〜。

つまり、私が言いたかったのは...どうしてわが国には、こんなに面白い政界スキャンダルがないんだ!

でも、上記のスキャンダルの登場人物にわが国の政治家をためしに当てはめてみて...とたんに、脳ミソを洗浄したくなった私です...(<自業自得という。)