【映画感想】シャーロック・ホームズ ☆☆☆1/2

ガイ・リッチーの映画は実は初めて見たのですが、演出がとにかく荒っぽくて、ガチャガチャと落ち着きなくて、あんまり好きじゃないかも。でも、でも、この映画は大好き!です。好きだという気持ちをおさえきれない(笑)。どこが好きかというと、ホームズとワトソン。もう、これに尽きますね。正確に言えば、ロバート・ダウニー・ジュニアのホームズと、ジュード・ロウのワトソン。

映画およびテレビドラマのキャラクターというのは、脚本家と俳優の合作だ、と何度か書きましたが、良い仕事をしてくれました3人とも。(いや、調べたらこの映画の脚本家って5人いるんですね。サー・アーサー・コナン・ドイルも含めると6人。だから、8人の合作?)本格的なホームズファンの方々がどう思われるかは分かりませんが、私は大いに気に入りましたね、このコンビ。

私は原作は、昔何冊か読んだ、という程度でよく知らないので、正直なところ、一番強いイメージはNHKでやっていたイギリスのテレビドラマ(ジェレミー・ブレットが出てたやつ)です。なので、私の「今までのイメージ」というのは主にそれなのですが...

で、その「今までのイメージ」と比べて、ホームズとワトソンのコンビぶり、私はこっちの方がずっと好きです。それはたぶん、今までのイメージよりワトソンがいろんな意味で強くて、二人が対等に近くなっているからかなあ。

前にも書いたのですが、私は男同士の絆の話は大好きですが、主君と臣下はダメ、軍隊の上官と部下もダメ、主人と執事もダメ、とにかくどちらかが一方的に尽くすとか従うとか面倒見るっていうのはダメで、対等の関係じゃないと惹かれないのです。だから、ジャックとスティーブン(「マスター・アンド・コマンダー」)がこんなに好きなの。単なる個人的「萌えツボ」の話ですが。

とにかく、この映画の最大の功労者はロバート・ダウニー・ジュニアとジュード・ロウだと思います。「演技力」というと、シリアスな感情表現とか外見をガラリと変えたりとかいうことばかりが評価されがちですが、「魅力的なキャラクターを創り上げる」という演技力ももっと評価されていいんじゃないかと、これも以前から言っていることですが...この二人はその点で「アカデミー賞もの」だと思う。

全編、ときどき「どうも、忙しないなあ」とか「あ〜、そこんとこはもうちょっとじっくり見せて...」とか思いながらも、楽しくて楽しくて仕方ありませんでした。考えてみりゃ、この落ち着きのないハイパーな演出というのは、気に入った人は何度もリピートするだろうという前提で、わざとやってるのかな。だとしたら、なんとなく納得ですが。

蛇足:ちょっとアホなことですが...この映画のアイリーン・アドラーが峰不二子に見えてしょうがなかったのは私だけ?(あの、ポジション的に。)つられて、ホームズがルパンに、ワトソンが次元に、レストレード警部が銭型警部に見えちゃったよ(笑)。