The Best of the Decade: 2000年代映画ベストテン (2-1位)

2位 マスター・アンド・コマンダー (2003-4年)

2003年11月の公開時に、これを観るのが目的でロンドンに行って3回、2004年2月の日本公開後に9回。映画館で観た回数のパーソナル記録を保持している映画です。

これは、「もう一度見たい」ではなく、「いつまでも見ていたい」という気持ちにさせる映画だ、と以前に書きました。

この映画のラストで、ジャックとスティーブンの合奏が終わった後、一瞬だけ風になびく帆の「ぱたぱた」という音が聞こえて、その後すっと消えるでしょう?その瞬間、気づくのですよ。その音が、ずっと聞こえていたことに。帆の音だけじゃない、舷側に寄せる波の音、帆船の肋材がきしむ音、ロープを吹き抜ける風の、風速によって高くなったり低くなったりする音...たった2時間ちょっとの映画なのに、あまりにずっと聞こえているので、自分がそれらの音をすでに意識しなくなっていたことに。そう、まるで船乗りみたいに!

その音が消えてしまった瞬間、なんだかやたらと寂しくなって、次はいつ観に来ようかと、すぐに考え始めたものでした。

はああ...(ため息)。また映画館で観たいなあ。

1位 グラディエーター (2000年)

このランキング、10本(+α)を選ぶのは、実はあまり難しくありませんでした。でも、10位から3位までの順位を決めるのは結構難しかった。だから、順位をつけずに10本(+α)並べる、という方法も考えたのですが...

結局順位をつけることにしたのは、どうしても「1位 グラディエーター 2位 マスター・アンド・コマンダー」と書きたかったからなのでした。

ここに挙げた映画はどれも、良くできているとか面白かったとかを遥かに超えた、私にとって特別な映画ばかりですが、この2本はやはり、スペシャルな中でも超スペシャルなのです。

さて「グラディエーター」ですが...

これは「マスター・アンド・コマンダー」のような、かつて存在した時代を2時間に切り取って緻密に再現して「経験」させてくれる映画じゃない。「ハリー・ポッター」や「ロード・オブ・ザ・リング」のような、本とシリーズ全作品を通じてスケールの大きな一つの世界を構築しているわけでもない。「ペルセポリス」のように、作家自身の実人生を描いて共感を呼び起こすものでもないし、「ボウリング・フォー・コロンバイン」のように現実を描いて社会問題を提起しているわけでもない。

これは実は...ひたすら、主人公を愛しまくるための映画なのです!

いろいろ理屈をつけることはできるけど、突き詰めればそういうことなの。そして、それでいいの。それが、10年間で最高の映画になったのだから。

Honorary Mention(紙一重の差で入らなかった、この10年の傑作映画):

アバウト・ア・ボーイ(2002年)、ディナー・ラッシュ(2002年)、ラブ・アクチュアリー(2004年)、サイドウェイ(2005年)、ティム・バートンのコープス・ブライド(2005年)、アメリカン・スプレンダー(2005年)、ホテル・ルワンダ(2006年)、ユナイテッド93(2006年)、アメリカン・ギャングスター(2008年)、ミルク(2009年)