NY 断片的な旅行記(その13)The Daily Show Taping Report 4

Q&Aセッションのつづき。

最後の質問は、ちょっと意外な展開になりました。

The Daily Show with Jon Stewart」のスタッフ・キャストは犬と子供を連れてくるように推奨されているそうで、(その2)で書いたようにスタジオは「犬と子供がうようよしている」そうです。そんなわけで、スタジオではドッグウォーカー(犬の散歩係)を雇っているようです。で、最後の質問者は、何年か前にデイリーショーのスタジオでドッグウォーカーをやっていたという女性でした。ちなみにデイリーショーは、以前は別のスタジオ(現在「The Colbert Report」を録っているスタジオ)で収録していたらしいのですが、この女性がドッグウォーカーをやっていたのはその頃だそうです。

この女性が知りたかったのは、彼女がその頃に散歩させていた犬を、ジョンがまだ飼っているかどうか、ということだったのですが...

ジョンは「モンキー(<犬の名前)のこと?」と言って、ちょっとためらってから、「いや...モンキーは癌になってね。」

「モンキー」くんは、2001年9月20日の、9/11後の最初の放送の「The Moment of Zen」に登場した仔犬です。去年の9月11日のエントリーにも書きましたが、↓この子です。

The Daily Show with Jon Stewart 2001/9/20 The Moment of Zen - Puppy

犬なのになぜ「Monkey」なんていう名前かと言うと、ジョンが以前に言っていたことによると、「自分のフンを投げるから」だそうです(冗談か本当かわからないけど)。ピット・ブルで、以前のインタビューによれば、ニューヨーク市の捨て犬収容所からもらってきた犬だそうです。ジョンはモンキーを「広場恐怖症」だと言っていたこともありました。

モンキーくんが癌になったのはいつ頃のことかは分からないし、はっきり「死んだ」と言ったわけじゃないのですが...まあ、詳しく聞く必要はないですね。一気に悲しい雰囲気になって、女性観客たちは思わず「Aww...」※となったのですが(私もです。すみません軽薄で...)、ジョンは、あんまり湿っぽくしないで、という感じで冗談ぽく「ヘイ、こっちはこれからコメディの番組をやらなきゃならないんだよ!」

ジョンの家で飼っているペットは「猫のスタン、犬のシャムスキーとモンキー」というのは以前の記事で読んだことがあったのですが、これはだいぶん古い情報だったので、今はどうなんだろう、犬猫の数は増えているんだろうか、と以前ファンフォーラムで話題になったことがありました。「テーピングに行った人が、Q&Aで聞いてみたらいいんじゃない?」という意見も出ていたのですが...こういう質問が、出そうで出ない理由がわかってしまいましたよ(涙)。かわいそうなモンキーくん。ご冥福をお祈りします。

しかし...子供の名前どころかペットの名前までこうスラスラ出てくるのって、ファンを通り越してストーカーぽい?自分でちょっと心配になりますが(笑)。

それはともかく、前回と比べても、時々ファンフォーラムで読むテーピング・レポートと比べても、今回はとりわけ面白いQ&Aセッションだったような気がします。ジョンがノってたってこともあるのでしょうけど、政治的意見を求める質問や妙に長たらしい質問がなくて、話を広げやすい質問が多かったこともあるのかな。Q&Aがどういう感じになるかは、偶然の作用が大きいのでしょうね。

それと...これは本当に気のせいかもしれないのですけど...なんか前回に比べて、雰囲気がさらに良かったような。(前回の雰囲気が悪かったわけじゃないのですけど。)セキュリティチェックの人は前回はもっと怖かったような気がするし、前説のポールさんの客のいじり方も、前回はもっとアグレッシブで、私など「どうか話しかけられませんように」って感じだったのですが、今回はそうでもなかった。まあ、単に私が二回目のせいかもしれないのですけどね。でもなんか、全体的にスタッフの人の雰囲気がマイルドになっていたような気がして、そのせいか観客もリラックスした、サポーティブで温かい雰囲気だったような気が...この感じをうまく伝えるのは難しいのですけど。

それはひょっとして、この前々回(前の週の水曜)の収録で、観客のひとりがゲストに「嘘つき!」と叫んで退場させられるという出来事があったばかりだったせいかもしれない...と、これは後で考えたのですけど。(この件については、NYに出発する直前に起こったので書く暇がなかったのですけど、また後で書きますね。)

さて、悲しい質問があった後、ジョンはすぐに気持ちを切り替えて(<いや多分)、収録が始まりました。

The Daily Show with Jon Stewart 2009/11/2

最初のセグメントは、翌日に迫ったニューヨーク市長選とニュージャージー知事選の話。前日のマラソンでオープンカーに乗ったブルームバーク市長を見たばかりだったので、妙に興味深かったです。その時のまわりの人々の反応からして、ブルームバーグ市長は特に人気があるようには思えなかったのですが、大差で当選したようですね。対立候補がよっぽど弱かったのでしょうか。

選挙といえば、今回ハンバーガーやらミュージカルのチケットやら買う列に並んでいると、NY市の広報係の人が来て、「忘れずに投票しましょうね」とビラを配っていました。私はNY市民じゃないので関係ないのですけど。ミュージカルの列に並んでいる人なんか、8割がたニューヨーカーじゃないでしょうけど...

二番目のセグメントはジョン・オリバーとジェイソン・ジョーンズのフィールド・レポート。ニューヨークとフィラデルフィアの、クレージーな野球・フットボールファンの話。ジョンはモニターでこれを見ながら、かなり大笑いしてましたねー。しかし、アメリカのスポーツファンは確かに騒がしくて酔っ払いで超下品ですが...ヨーロッパのサッカーファンとかと違って、暴力的ではないだけいいんじゃないかな〜、とか思いました。

フィールドレポートの上映が終わると、ジョン・オリバーとジェイソン・ジョーンズがスタジオに出てきて挨拶しました。二人は奥からじゃなくて入り口の方から登場して(その1の見取り図参照)、私の席はわりと近かったので、二人のアップを見られました。二人ともいい男でしたよん(<ミーハー)。

インタビューはニュージャージー選出の、ヒスパニック系の上院議員さん。貧しい家庭の出身で、「アメリカン・ドリーム」を叶えた人と言われているのですが、ジョンに言わせれば「僕が若い頃には、『アメリカン・ドリーム』っていうのはニュージャージーから出てゆくことだったのですけどね。」

今回は前回と違い、Tossも録り直しもなかったので、この後「The Moment of Zen」があって、収録はあっさり終わりました。

でも、今回は、スタンダップのギグを見るのにも匹敵する珠玉のQ&Aセッションが見られたもんね。席も近かったし。満足です。

しかし、一つだけまだ見られていないのがあって...それは「特派員」がスクリーンの前に立ったりデスクに座ったりしてジョンと会話する、あのパターンなのです。2回とも、ジョンだけのセグメント+フィールド・レポートというパターンだったからなあ。外国から衛星中継しているはずの「特派員」が、実はジョンのすぐ隣に立っている、というのも見てみたいなあ。

あー、なんか、また行きたくなってきた。来年中に、もう一度ぐらい行くかな〜。誰か一緒に行きません(笑)?

※Aww(あ〜ぅぅ): 英語圏の女性が、こういうときに発する音。だいたいの意味は

1) おお〜、かわいそうに!
2) うふ〜、なんて可愛いの!
3) まあ〜、やさしいのね!
4) うわ〜、愛し合ってるのね!

...のうちのどれか。くれぐれも、「Eww」(い〜ぅぅ=げ〜、気持ち悪い!)と間違えないこと。