オーブリー&マチュリン「21」(その16) 

無事に家族を迎えたジャックとスティーブン。早速、ジャックは双子の「なんで提督の軍服を着ていないの?」というでかい声の二重唱、スティーブンはブリジッドちゃんの「ディアレスト・パパ」というはにかんだ囁きの挨拶を受けたのでした。

ソフィー、クリスティーンとその兄、子供たちのご一行は、リングル号からジャックの旗艦サフォーク号の客室に移りました。小型のスクーナーから戦列艦に移ると、その大きさの違いは際立っていて、双子は「ホテルとほとんど変わらないぐらい良い」と評して、キリックに嫌な顔をされています。

大型船はほとんど乗ったことのない双子は、サフォーク号の帆を見て「帆が四角だ!」と驚いたりしています。ブリジッドちゃんはすかさず「シップとスクーナーの違いを知らないの?」と知識を披露していて、どうやら双子とブリジッドちゃんの「力のバランス」については、スティーブンの思惑通りになったようです。

船に乗ることに関してはブリジッドちゃんが「先輩」とは言え、双子だってアイルランドの学校と往復では一応船に乗っているでしょうし、今回はリングル号でここまで来たわけで...この知識の差は経験の差というより、興味を持っているかどうかの違いという気がしますけどね。ブリジッドちゃんの方が知識欲が旺盛というか、父譲りのオタク体質なんでしょう。(その割にスティーブンは船のことをなかなか覚えないけど。乗り物方面に興味を持つのは母親譲り?)まあもちろん、船酔い体質かどうかの差も大きいですけどね。

サフォーク号に来てからも、ブリジッドちゃんは元サプライズ号のシップメイトたちとお馴染みで可愛がられているので、ソフィーの家にいる時の「預けられている友達の子供」という感じがなくなって伸び伸びふるまうようになり、年上の双子とより対等な関係になったことで仲もよくなったようです。

3人の女の子は、パディーンや他の水兵に連れられてトップに登ったり、一緒に艦内を探検したりするようになりました。薄暗い船倉を「探検」していると、新米の士官候補生や、それより年下の「第一級志願者」の子たちが、帆布をかぶって船幽霊のフリをして脅かしてきたりするのでした。

そういう男の子たち(9歳〜13歳ぐらい)にとっては、艦に同じ年頃の女の子が乗っているなんてめったにないことで、嬉しくてしょうがないんだろうなあ。

さて...子供たちとの再会もいいですけど、スティーブンとクリスティーンは、プロポーズの返事が中途半端になっていたシエラレオネでの別れ(20巻5章)以来の再開ですよね?はっきりした返事は、いよいよもらえるのでしょうか?

それに、ジャックとソフィーも久々の再会で、夫婦の愛情をしっかり確かめ合ったのでしょうか。(<あまりヘンな意味はない)

ところが、スティーブン&クリスティーン、ジャック&ソフィーの再会はあっさり挨拶ぐらいしか書かれていなくて、最初に出てくる長い会話は、お茶を飲みながらしみじみ旧交を温めるスティーブン&ソフィーの会話なのでした。さすがは(?)オブライアンさん。