NY 断片的な旅行記(その8)Stephen Colbert in New Jersey 3


「スティーブン」(キャラバージョン)

第一部のインタビューの中で、その他に憶えていることと言ったら、Posnerさんが「君の頭の中が屋根裏部屋だとすると、どんな部屋になる?」と聞いたのに対して、スティーブンが「少なくとも、アルファベット順にはなっていない」と答えたことです。スティーブンによると彼の頭の中は「ティーンエイジャーの男の子のベッドルーム」みたいで、足の踏み場もなく服やいろんなものが散らかっているけれど、どこに何があるかはちゃんと分かっている、ということです。

ティーブンには「知識に対するランダムな欲望」があると言われたことがあるそうで、「それは必ずしもよいことではない」と言われたそうです。

まあ、スティーブンはお父さんとお兄さんたちが亡くなった直後から、学校の勉強をしないで1日1冊のペースでSF/ファンタジー小説ばかり読んでいたそうなので、たいがいの大人にはそう言われますよね。しかし、そのランダムな知識欲は、今「Colbert Report」を作るのに非常に役に立っていると思うので、よかったのではないでしょうか。

たいがいアメリカの主流ニュースのネタを元に作られる「デイリー・ショー」に比べて、「コルベア・レポー」は世界中から、ほんとにヘンな小ネタを(例えば、日本の「ネコの駅長さん」の話とか)拾ってくることがあって、それが妙な味になっているのです。

もうひとつ印象に残ったのは...この頃、ホワイトハウスのスタッフの人(現在は辞任)が24時間ニュースTV局の「FOXニュース」を、「共和党プロパガンダばかりやっていて、ちゃんとしたニュース局とは言えない」と批判して(<ま、それはその通りなんですが)、それが「ホワイトハウス対FOXニュースの戦争勃発!」という風に他のマスコミに騒がれた、ということがありました。それについてスティーブンは、ホワイトハウスがFOXニュースを「偽ニュース」と呼ぶのはやめてほしい、と言っていました。「偽ニュース(Fake News)」というのは、「The Daily Show」と「Colbert Report」のキャッチコピーだからです。

「今の本物のニュース(のニセモノさ)に対抗するには、こっちはどれだけニセモノになればいいんだ!(How fake do we have to get?)」と、彼は言っていました。

さて、続いて第二部は「稲妻ラウンド」。

これは、同じ質問にスティーブン(本人)と「スティーブン」(キャラクター)の「二人」がそれぞれ答える、というコーナーでした。実際には、まずスティーブン(本人)が全部の質問に答えて、その後彼が「スティーブン」に「変身!」して同じ質問に答える、という順番だったのですが…「二人」の答を並べた方がここでは分かりやすいと思うので、そうしますね。

ちなみに、キャラの「スティーブン」に変身して!と言われたスティーブンは、立ち上がってくるっと回転して、いつも番組でやっている喝采を求めるようなアクションをして表情を変え、椅子に「どかっ!」と座って足を机に乗せました。お見事。

・ひとつだけ超能力を持てるとしたら?

ティーブン:透明になる力

「スティーブン」:空を飛ぶ力

・会ってみたい歴史的人物は?

ティーブン:イエス・キリスト、コペルニクスジョン・F・ケネディ

「スティーブン」:チンギス・ハーン

・あなたのヒーローは?

ティーブン:アラゴルン(「指輪物語」)

「スティーブン」:「ジョージ・W・ブッシュは偉大な大統領だ!」

・人生で過去に戻って変えたいことは?

ティーブンの答えは覚えていません。

「スティーブン」:ジェーン・フォンダにキスを返せばよかった。

ははは、この↓インタビューのことですね

http://www.colbertnation.com/the-colbert-report-videos/86577/may-09-2007/jane-fonda

・怖いもの

ティーブン:クモ (観客から「クマ!」と声がかかり、スティーブンは「いや、それはキャラの方!」と答えていました。)

あれ、クモが怖いってことは、この↓セグメントは相当ガマンしてたんだなあ...

http://www.colbertnation.com/the-colbert-report-videos/219746/february-25-2009/the-word---ablacknophobia

「スティーブン」:クマ

「スティーブン」がクマ恐怖症なのは番組のお約束のギャグです。ちなみにクマといえば、スティーブンがクマについて面白い話をしていました。

彼が7歳ぐらの頃、家族で映画を見に行ったそうです。多分、昔の西部を舞台にしたアドベンチャーものか何かだと思うのですが、その映画でリチャード・ハリスが熊に襲われるシーンがあったそうです。顔とかメチャメチャにやられて、映画の最後まで傷だらけの姿だったので、7歳のスティーブンにはそれがずいぶん怖くて、帰りの車の中でお父さんにそう言ったそうです。

ちなみに、スティーブンの出身地のサウス・カロライナ州チャールストン近辺には熊はいないそうなので、お父さんも「この辺りには熊はいないから大丈夫だよ」と言って安心させればいいのに...医者であるお父さんは、「大丈夫、あのぐらいの傷、現代の医学ならすぐ縫い合わせられるよ!」と言って、スティーブンをますます怖がらせたそうです(笑)。

・人生のモットーをTシャツに印刷するとしたら、何て書く?

ティーブン:「Well, I thought it was funny. (...いや、ウケると思ったんだけど。)」

「スティーブン」:「Wear a cup. (常にカップ(急所のプロテクター)をつけておくこと。)」

・聖書の中で好きな話

ティーブン:好きな話というより、イエスの言葉では好きなものがたくさんあって選べない。(早口でいろいろ挙げた後)「愛はすべての律法に優先する。」

「スティーブン」:預言者エリヤを「ハゲ」と呼んだ子供を、神がメスの熊を遣わして殺した話。

そんな話あったっけ??…いや、私はスティーブンと違って旧約聖書にはぜんぜん詳しくないんで...旧約聖書の神様はしつこくて容赦ないのが特徴ですので(笑)、きっとあるんでしょう。この質問への「素」のスティーブンの方の答えは、彼らしくてすごく好きです。

つづく。