オーブリー・マチュリン「21」(その1)


Jack Aubrey's Command 右より1巻のソフィー号、17巻の旗艦ベローナ号、おなじみサプライズ号、左奥が5巻のレパード号

パトリック・オブライアンの「オーブリー&マチュリン」シリーズの(完成した本としては)最終巻となった20巻は、ジャック・オーブリーが念願の将官、青色艦隊少将(rear adrmial of the bule)に昇進する命令書を受け取るところで終わっていました。

この命令書を受け取った時ジャックはサプライズ号でチリ沖にいたのですが、命令はアルゼンチンのラプラタ河口で南アフリカ艦隊と合流し、そこで旗艦「インプレイカブル号」に赴任するように、というものでした。(この「インプレイカブル号」は、なぜか「21」では「サフォーク号」に変わっているのですけど...ま、「なぜか」と言っても、未完成原稿ですから、あとで説明を入れるつもりだったのかもしれないけど。)

で、ジャックは命令通りラプラタ河(River Plate)に向かうため、チリ沖を南下して南米大陸の大西洋側に向かうのですが、その時なぜか「ピラー岬からマゼラン海峡へ向かう針路をとれ」と言っています。

マゼラン海峡南米大陸南端の、大陸とフエゴ島の間にある海峡ですが、潮流が速くて暗礁も多い難所。ジャックはいつもはここを通るのを嫌って、強風が吹き荒れていてもさらに南のホーン岬を回ることの方が多かったのですが...今回はマゼラン海峡。理由はよくわかりませんが、今回は特に急いでいないようなので、気をつけてゆっくり行くにはマゼラン海峡の方がいいってことかな?

それはともかく、この「21」の冒頭、サプライズ号はそのマゼラン海峡にいます。第1章の原稿は、スティーブン・マチュリンが、前巻でプロポーズしたクリスティーン・ウッドへの手紙を書いているところから始まっています。