vs. CNBC その5(先週のThe Daily Show with Jon Stewart)

The Daily Show with Jon Stewart 2009/3/12 Jim Cramer Part1

たいへんな話題になっているこのインタビューを翻訳しようと思ったのですが、うう、金融用語がわからない...ジョンみたいに(↓)地下室で特訓を受けた方がいいかも。

The Daily Show with Jon Stewart 2009/3/12

この「特訓」の問題を作ったのはお兄さん(2008/11/10のエントリー参照)かなあ、とか妄想してます(<たぶん違う)。

というわけでちょっと自信ない訳ですけど、とりあえず。

ジョン・スチュワート:どうしてこういうことになったんでしょうね、クレーマーさん?何が起こったんでしょう。

ジム・クレーマー:分かりません。あなたの番組の大ファンですよ。でも、みんなそう言うでしょう?

スチュワート:言わない人もたくさんいますよ。ひとつだけ、誤解されているかもしれないことがあるんですが…これ(CNBCを批判したThe Daily Showのセグメント)は、あなたに向けられたものじゃなかったんですよ。言てみれば、われわれがCNBCにバナナ・クリーム・パイ(※)を投げたら、あなたの背広にもクリームがかかったというだけです。

クレーマー:誰もが批判を受けて当然だと思います。もっと先を見通すべきだった。つまり、認めますが、これはひどいことです。誰も彼もが間違っていた。私も間違っていた。私はこんなことは100万にひとつの可能性だと思っていた。でも、この状況では、全員が罪を負うべきだと思います。

スチュワート:それでは、言わせてもらいますが、どうして我々に対して怒っているんですか?あなたは、我々が不公平な言い方をしたと言っているのだと思っていましたが…

クレーマー:いいえ…友人のJoe Nocera(※)が電話してきて、「君に謝った方がいいかな?」と言ったのですが、私は、いや、われわれは批判を受けて当然だ、大きなネットワークだし、最前線にいたのだから。われわれは間違った。1日17時間生放送をやっているのだから、でも…

スチュワート:時間を短くしたらどうですか?この一件が、どうして注目を浴びているか、ぼくの考えはこうです。CNBCの宣伝と、その実態にはギャップがある。みんな、それを知りたいと思っている…これは、あなたの番組のコマーシャルです。

【"In Cramer We Trust"(我らクレーマーを信ず)という「Mad Money」のコマーシャル】

スチュワート:ぼくもあなたも、言ってみれば、ヘビ油売りみたいなもんです。でも、ぼくたちは番組に「ヘビ油売り」と看板を出している。(※)ヘビ油をビタミン剤と偽って売って、湿疹を治すとか言うのは問題じゃないですか?

クレーマー:二種類の人間がいます。テレビに出てきて正しい予測も間違った予測もする人。彼らは金融のプロです。また、正しい予測しかしない人がいる。彼らは嘘つきです。私は出来るだけ、正しい予測をしようと努力しています。

スチュワート:違いは、予測が正しいか間違っているかじゃないんです。違いは、本物の市場と偽の市場です。あなたはヘッジファンドをやっていましたよね?

クレーマー:ええ、何年も。

スチュワート:それでは…(スタッフに)208番を流して。

クレーマー(ビデオ:2006年12月):何度も、私のヘッジファンドが不足の時、私は売り待ちになります。つまり、株価を下げる必要があるのです。そこで、先物を動かせるようになる前に、あるレベルの動きを仕掛けるのです。あまり金はかかりません。

スチュワート:これはどういう意味ですか?

クレーマー:これは分かりやすいように挙げた極端な例です。先ほど、空売りについて良いセグメントをやっていましたね。私は空売りについて説明して、本当は何が起きるか明らかにしようとしてたのです。つまり、自分がやっていたということじゃなくて、この手のペテンを説明しようとしていたんです。

スチュワート:自分でやっていたと言っているように聞こえますが。

クレーマー:言い方が曖昧だったかもしれません。私はあまり先物取引はやっていません。しかし、つまり、私はこういうことを暴露したかった。あなたたちがやっていることと同じです。市場を規制する人に見てほしかったのです。

スチュワート:面白いですね。210を流して。

クレーマー(ビデオ:2006年12月):ヘッジファンドをやっている人には、これを薦めますね。合法ですし、短期で金を稼ぐにはもってこいの方法です。まあ、これをはっきり認める人は他にはいないでしょうけど、かまうもんですか。こんなこと、テレビでは言いませんけど。

クレーマー:(皮肉に)テレビに出たわけだ。

スチュワート:ぼくは、CNBCのジム・クレーマーに、このジム・クレーマーから守ってほしいですね。

クレーマー:それには、こうやって説明して、監督官庁にテープを見てもらって、こういうペテンが行われていることを知ってもらうことじゃないですか。彼らが(バーニー・)マドフを捕まえられなかったのは残念ですが…

スチュワート:あなたは監督官庁のことを言いますが、経済ニュースのネットワークはどうなんです?この議論全体のポイントはそこなんです。CNBCは非常に強力な啓蒙の手段になり得た。二つの別々の市場があると思っている人々にとって。

ひとつは、長期の市場として、我々に売り込まれてきた市場です。「あなたのお金を401Kにつぎ込んで、年金につぎ込んで、そのまま放っておきなさい。心配はいらない、あなたのお金は大丈夫だから。」そして、もうひとつ、まったく別の市場があると思っている…それは本物の市場で、奥の部屋で行われていて、巨額の金が出たり入ったりしていて、人が取引していて、金がめまぐるしく出入りし、危険なものだ。道徳的にも怪しい。そして、長期的には市場そのものにダメージを与えている。

我々が感じるのは、まったく素人として言っているんですが、まるで我々が、あなたがたの冒険に金を出しているように感じるのです。我々が、必死で働いて貯めた年金で。これはあなたがたの熟知しているゲームで、そういうゲームをやっていることをあなたがたは知っていて、なのに、経済専門ネットワークのテレビに出て、そんなことは起こっていないというフリをしている。

クレーマー:ええ、それに関しては、こう答えるしかない。その通りです。我々はもっといい仕事をすべきだった。ペテンが行われていて、我々はそれを指摘すべきだった。みんなそうです。私ももっといい仕事をすべきだった。でも、一方で、私は毎日毎晩空売りのことについて説明している。議会と協力して、ルールの設定をしようとしている。技術的なことですが、あなたの言うゲームの多くを防ぐことができる。私は努力しています。成功しているかどうかはわからないが、努力しているんです。

スチュワート:でも、あのビデオの中の人は、真面目で理性的な人に見えます。「Mad Money」に出てくる人は、脚の間からプラスティックの牛を放り投げて、「売り!売り!売り!」と叫んだかと思ったら、二日後に「間違っていた、買うべきだった」とか言う。あなたが、この複雑な市場に関して持っている知識の深さと、あなたが毎日やっているクレージーでデタラメな番組と、つじつまを合わせることができないんです。あれ(クレーマーのインタビュービデオの中の説明)は、ちゃんとした英語です。人を大人として扱うことです。

クレーマー:私がそれをやるのはどうです?

スチュワート:何を?

クレーマー:やってみるんです。あなたの言っていることを。

スチュワート:それは素晴らしい、でもこれは、あなだだけのことじゃないんです。もっと大きな力のことです。経済ニュース業界は、怠慢の罪だけじゃなく、もっと積極的に関わっていたということです。実質上、共犯と言ってもいい。つまり…

クレーマー:いいえ、共犯ではありませんよ!その言い方はフェアじゃない。本当に、我々はニュースを報じようとはしていた…何人かは…

スチュワート:二人ぐらいはやっていますね。ファーバーという人と、もしかしたらあと二人ぐらい。

クレーマー:ファーバーは素晴らしい。彼は多くのことを明るみに出しています。

スチュワート:しかし、ここまでくるには10年の積み重ねがあったのです。明日にでも解決するというわけにはいかないでしょう。あなたたち(CNBC)は、ベアー・スターンやメリル・リンチの経営者たちを出演させる力があった。彼らは35対1のレバレッジで取引していた。それなのに、今はあなたがたは住宅ローンを抱えている人たちを責めている。これはおかしいですよ。

クレーマー:私はローンを抱えた人を責めたりしてません。

スチュワート:CNBCのことを言っているんです。

クレーマー:そうですね、その通りです。私はいつも、彼らが出演する前に、虚偽の証言をしないと宣誓でもしてくれればいいと思っていました。多くのCEOは、番組で嘘をつくんです。情けない話です。私には彼らを(偽証罪で)訴える力はない。

スチュワート:でも、あなたは騙されただけの正直者だというフリをしている。これを見て下さい。(スタッフに)212を流して。

クレーマー:(冗談ぽく)ノー、212はやめてくれ!

クレーマー(ビデオ:2006年12月):…つまり、「foment」(煽ること)はできません。これは違反ですから…fomentは違法なんです。自分で、株価が下がるという印象を作り出すことはできないことになっている。でも、実際にはやるんです。どうせSEC(証券取引委員会)には理解できませんから。

スチュワート:次、216を流して。

クレーマー(ビデオ:2006年12月):VerizonもAT&Tもi-phoneを気に入らなかったというアップルの噂を流すのは極めて重要です。非常に簡単なことです。また、マックワールドに間に合わないだろうという噂を流すのもいい。簡単なことです。アップルについて記事を書く人はその話を聞きたがるし、アップルの経営陣と話をしたことがあるから、信頼できる話だと言うことができるからです。

スチュワート:あなたが金融をエンタテインメントにしようとしていたのは分かりますが、これはゲームじゃないんですよ。ぼくは…これを見たとき、どんなに腹が立ったか言葉では言えないほどです。なぜなら、これを見て分かったのは、「あなたがたは知っていた」ということだからです。あなたがたはみんな、何が起こっているか知っている。(あなたがビデオで語ってた)このような類のペテンと、ベアー(・スターンズ)やAIGで行われていたようなこと、そのこのデリバティブ市場のことは、直接つながっている。この奇妙な、ウォール街のサイド・ベット(本来の賭けとは別に行う賭け)のことです。

クレーマー:そういうことに関わっていた私のような人間に、ペテンを明らかにしてほしいんじゃないですか?他に私に何ができます?

スチュワート:それはぜひ、心からやって欲しいですよ。でも、そうはしていない。現実は…

あなたがたは、銀行が何をやっているか知っていたのに、何ヶ月も何ヶ月も、銀行の宣伝をしていた。ネットワーク全体がです。そして今になって、これが一生に一度の異常な津波で、誰にも予想もつかなかったというフリをしている。これは良く言って不誠実、悪くすれば犯罪的ですよ。

クレーマー:リーマン・ブラザースの経営者のディック・フルドが電話してきて…株価が40ドルの時、私がこの株価は適切じゃないと言ったので、電話してきたんです。私は適切な位置じゃないと思っていて…彼は電話してきて、ウソをつきまくったんです。私は彼のことを20年も前から知っているのに。

スチュワート:(皮肉に)会社のCEOがあなたにウソをついたんですか?

クレーマー:(笑って)ショックですよね。トレーダーを辞めた方がいい。

スチュワート:でも、それが金融報道じゃないんですか?CNBCの仕事は何だと思っているんです?

クレーマー:連中を裁判にかけたいですよ。告訴したい。でも、告訴はできないんです。AIGが告訴されましたか?司法省に「こうすれば告訴できる」と言ったんですが…

スチュワート:後から気づくのは簡単です。経済ネットワークの役割は…CNBCは…ある意味…監督官庁になれと言っているんじゃないんです。でも、誰のために働いているんですか?

まるで、調子を合わせる必要があるかのように…CNBCの視聴者は、コンスタントに短期利益を上げ続けるウォール街のトレーダーなんですか?

ああいう会社の人たちは、我々の401Kと自社のインセンティブを資金に短期利益を上げて凱旋している。われわれの金で家を焼き払って、大金持ちになって立ち去っている。そして、あなたたちは何が起こっているか知っていた。

クレーマー:私は恥を知っていますよ。私がなぜバナナ・クリーム・パイを持っているかわかりますか?CEOに投げつけるためですよ。私が番組で、何度CEOに恥をかかせたか知っていますか?

スチュワート:しかし…これは、カーリー・サイモンを引用するなら、「この歌はあなたについての歌じゃない」のです。(つづく)

※バナナ・クリーム・パイ:ジム.クレーマーが前日に出演したマーサ・スチュワートの番組でマーサと焼いていたパイ。マーサは「このパイをジョン.スチュワートに食べさせるか、でなければ投げつけたら?」とアドバイス(?)していた。

※Joe Nocera:ニューヨーク.タイムズの経済コラムニスト。3月4日のリック.サンテリの代わりのゲストだった。

※ヘビ油売り:実際には、The Daily Showの看板は「偽ニュース」。