クリスマス戦争(その2)

昨日の続き。

The Daily Show with Jon Stewart 2005/12/07

ビル・オライリー(FOXニュースの「オライリー・ファクター」のビデオ):…予想通り、公の場でクリスマスを祝うことに反対する人々が反論を続けている。「無宗教(Secular)セントラル」…失礼、「コメディ・セントラル」では、こう言っている…

サマンサ・ビー(ビデオ):クリスマス。これは連邦休日になっている唯一の宗教的祝日です。この日がお休みであるおかげで、クリスチャンは教会に行き、その間に他の人たちは家にいて「政教分離」ということについてじっくり考えることができるのです。

オライリー:それから、ジョン・スチュワートに挨拶を…「メリー・クリスマス」。

スチュワート:これはこれは、どうもありがとう。じゃあぼくからも、ビル・オライリーとその親族ご一同にご挨拶を…「Feliz Navidad!」(スペイン語のメリー・クリスマス)。でも、きっとあなたは、こっちの方もアメリカにはびこりすぎだって心配しているんだろうね。

つぎに、あなたはここ「無宗教セントラル」…ぼくらは「罰当たり(Godless)セントラル」って呼んでいるんだけどね…で、クリスマスに反対する論戦を続けているって言った。でも、ぼくは、あなたが流したそのビデオに覚えがないんだよね。でも、まあ、サマンサ・ビーに聞いてみよう。彼女が出ていたから。サム、出てきてくれるかな?

念のため…誰もべつに、「メリー・クリスマス」って言うこと自体が悪いって言っているわけじゃないんです。同じメリー・クリスマスでも、スティーブンが言うのはいいし、ジョンも気にしている様子はないし。でも、ここでのビル・オライリーは明らかに、攻撃として、嫌がらせとして言っているわけで。

クリスマスという言葉を嫌がらせとして使うビル・オライリーの方が、よっぽどGodlessだと、私などは思うのですがね。(<けっこう怒っている)

それに…ユダヤ人であるジョンに対してわざわざこういうことを言うのは、勘ぐれば、遠回しなAnti-Semitism(反ユダヤ主義)っぽい感じも、しないではない。

それに対して、「Feliz Navidad」と、スペイン語のメリー・クリスマスで答えるというのは、礼儀正しく、スマートでいて、実にさりげないイヤミをこめた絶妙の反撃だと思うのですが…ビル・オライリーに理解できただろうか。

なぜスペイン語なのか?実はこれにも、深いわけがあるのでした。

アメリカの、中南米からの移民が多い地域(フロリダとか)では、大人になってから移民した人の中に、英語ができない(スペイン語しかわからない)住民がけっこう多くいます。なので、役所の公式なお知らせとか、公立病院の表示などで、(理解できないために不利益を受けたり、命に関わったりする人が出るといけないので)英語とスペイン語を併記してある場合が多いそうです。で、それが気に入らなくて、「アメリカに住む以上、英語が話せるようになるべきだ」「アメリカの公用語は英語だけと法律で定めるべきだ」と、主張する人々がいるそうで。

「メリー・クリスマス」をスペイン語で言うだけで、これが「キリスト教対他の宗教」とか、「キリスト教無宗教」という問題じゃなく、国の中で多様な文化に寛容になるかどうかの問題だということがわかるのです。

つづきます。(分ける意味はあんまりないんだけど、長いので)