クリスマス戦争(その1)

今年は個人的に、秋から冬にかけて、時間の経過が異常に速くて、おそろしいぐらいなんですが…ほんと、10月や11月なんて、まばたきしている間に終わってしまった感じ。気がつけば、もう12月なんですねぇ。

ということで、「The Daily Show with Jon Stewart」季節ネタ第二弾(笑)、アメリカにおける「クリスマスに対する戦争(War on Christmas)」について。

そんな「戦争」があるのかって?いえ、ないんですけどね(笑)。まあ、一部の人の頭の中にだけあるというか…

近年のアメリカでは、この時季「メリー・クリスマス(Merry Chrismas)」の代わりに、「ハッピー・ホリデイズ(Happy Holidays)」と挨拶する場合が増えているそうです。相手がクリスチャンか、そうでなくてもクリスマスをお祝いする人なら「メリークリスマス」でいいけど、そうじゃない場合でも、「ハッピー・ホリデイズ」なら、どんな宗教でも無宗教でも、どんなホリデイをお祝いする人でも、包括してお祝いの気持ちを表せるから、ということで。

私は、それはいいことだと思うのですけどね。相手が自分と同じだとか、その国やその人種の多数派に属する人だと決めつけてしまわないで、そうじゃない可能性をちょっと考えて、ちょっと気を遣うってことで…むしろ、それこそが真の「クリスマス精神」ってやつだと思うんですけど。

でも、それが気に入らない人もいるみたいで。アメリカの保守派(というか、宗教右派ですね)の中には、これを「クリスマスに対する攻撃」だとかそういう…なんだ、その、はっきり言ってアホらしいことを言う人が、実際にいるみたいなんです。

私がそういう話を初めて聞いたのは、何年か前、ブッシュ大統領が大統領としての公式の挨拶状で「ハッピー・ホリデイズ」だったか「Season's Greetings(季節のご挨拶)」だったかを使うのを、ブッシュの支持基盤の宗教右派の人が「大統領はキリスト教徒なんだから『メリー・クリスマス』でいいじゃないか、どうして無宗教の挨拶にするんだ」とクレームをつけた、というニュースからでした。

私がそれを聞いて最初に思ったのは、「なんというクリスマス精神に欠けた話だ」ということでした。だいたい、カードでも年賀状でもお歳暮でも、あげる相手のことを第一に考えて出すもんでしょう。もらう人が嫌な気持ちになるかもしれないのもかわまず、自分の考えを主張してどうする。

まあね、私なら…私はクリスチャンですが、もしも仏教徒の友達から「花まつりおめでとう」というカードが来ても、ユダヤ教徒の友達から「ハヌカおめでとう」というカードが来ても、イスラム教徒の友達から「ラマダン明けおめでとう」というカードが来ても、べつに気にしないっていうか、むしろ嬉しいと思いますけどね。
 
でも、もしも…もしも、です。私がキリスト教徒だということを知っている人から(いや知らなくても)、わざわざこの時期に、「日本人として一緒に天皇誕生日をお祝いしましょう」なんていうカードが来たら、やっぱりムッとするだろうし、すごく嫌だと思うのです。いや、そんなことがあったというわけじゃないんですけど、例えばの話。

要は、その国、その立場で、押し付けられていると感じる理由があるかどうかなんだと思います。アメリカに住んでいれば、キリスト教を押し付けられているという感じる理由があるんでしょう。

…と、長い上にあまりハッピーでもメリーでもない前置きに続いてご紹介するのが、ちょっと古いのですが、次のセグメント。

The Daily Show with Jon Stewart 2005/12/07

ジョン・スチュワート:今日はいつもよりちょっと個人的な話で始めたいんだけど。観客のみなさんや、テレビで見ている人たちの中には、知っている人も多いと思うけど…クリスマスに対して戦争が起きているんだ。

【観客笑】

スチュワート:ひどい話だよね。今年はクリスマスがあるかどうかも分からないって。まあ、多分あると思うけどね。でも、いったい誰が、クリスマスに対して戦争をしかけているんだ?

えーと、それが…どうやら、ぼくらしいんだよね。

つづきます。