本物のアメリカ vs. 偽のアメリカ

毎日この話ばかりですみません…大統領選挙が近いせいか、毎日のようにネタがあって。

昨日書いたジョン・スチュワートのスタンダップ・ライブの、サラ・ペイリンの言った「本物のアメリカ」「アメリカの味方である地域」について、昨日の「The Daily Show」ではさらに詳しく突っ込んでいました。これが傑作。

The Daily Show 2008/10/20

(マケインの選挙スタッフの女性が「バージニア州の北部は民主党寄りになってしまったが、その他の本物のバージニア州はマケイン候補のメッセージを理解してくれています。」と発言し、全米の他の州の中で「本物」である地域を次々に挙げているクリップ)

ジョン・スチュワート:もしマケインがこの「アメリカ」の「選挙」で落選しても、彼は「本物のアメリカ」の大統領になるようだ。「本当に重要な」アメリカの。サラ・ペイリンがまだ質問を受けつける地域だ。

サラ・ペイリン:私たちがこうして訪れている小さな町にこそ、アメリカの最良の部分があると私たちは信じています。私が「本物のアメリカ」と呼んでいる、素晴らしい小さな片隅です。この偉大な国の中でも、アメリカの味方である地域の、勤勉で、非常に愛国的な人々の中にあるのです。

スチュワート:小さな田舎町こそが「本物のアメリカ」なら、ワシントンDCやニューヨークのような大都会は「偽のアメリカ」の首都で、「偽のアメリカ」の商業の中心で…そう、言ってみれば…「アンチ=アメリカ」のグラウンド・ゼロってことになるか。ビン=ラディンは今頃悔しがっているだろうね。「何だと?我々は攻撃するアメリカを間違えたのか!」

ペイリン:こういう地域にこそ、普通のアメリカ人の優しさ、善良さ、勇敢さがあります。わが国の工場を運営し、食物を育て、子供を教育し、我々のために戦争を戦ってくれているところです。軍人としてわが国を守り、我々の自由と美徳を守ってくれている人々の故郷です。

スチュワート:そう、ぼくら都会の人間は、そういうことは全然しないからね!

続いて、「議会の中で誰が『アメリカの味方』で誰が『アメリカの敵』か、マスコミはもっと詳しく調べるべきだ」と主張する下院議員のクリップ。何この人、マッカーシーの生まれかわり?

マケインの選挙スタッフ、副大統領候補、下院議員と、共和党の中でもかなり極端な人が3人出てきましたが、3人とも女性(それもわりと若くて美人)なのは何なんでしょうね。

続いてのセグメントは、「クイズ:あなたは『本物』のアメリカ人?」

The Daily Show 2008/10/20

スチュワート:自分が「本物」のアメリカ人かどうか判断するのは難しいことがあるね。たとえば、善良な人の育つ小さい町に住んでいるけど、その町はマサチューセッツのようなゲイ贔屓の州にある?または、大都会に住んでいるけど、まだ健全なイスラム教徒不信を保っているかな?「本物」のアメリカ人かどうか迷っている人のために、数式で説明しよう…

…最後の質問、あなたはどちらに投票する?A)マケイン、 B)テロリスト。さて、ここまでの質問に全部答えたとしたら、つまりあなたは「The Daily Show」を見ているということだ。ということは、明らかに、「本物」のアメリカ人じゃないってことだね!

私は本物もニセモノも、そもそもアメリカ人じゃないのに、どうしてこの話をこんなに興味深く感じるかといえば…まあここまで極端な言い方じゃないにしても、この種のスピリット(?)を感じる表現っていうのは、「日本人」に言い換えたとしても本当によく聞くからでしょうね。(日本だと地域っていうより、世代によるギャップが大きいような気がしますが。)

はっきり意識はしていなかったけど、そこはかとなく反発を感じていたのを、うまいこと突いてくれているというか。「そう、あんたらの基準で言えば、私はニセモノですが…それが何か?」って、言えるようにしてくれるというか。

ファンフォーラムでも、みんな嬉々として「私は立派なニセモノアメリカ人よ!」「残念、私自身はニセモノだけど、住んでいるところは『本物の』アメリカなの。」と話していました。

クロージングがまた傑作。

The Daily Show 2008/10/20

スチュワート:ぼくらはみんな、この、国のある部分が「本物のアメリカ」で、他の部分はそうじゃないっていう考えにちょっとイラついているんだ。

週末に、ぼくはノースイースタン大学でパフォーマンスをやったんだけど、直前にサラ・ペイリンが言った「この国の中でもアメリカの味方である地域」という演説について読んで…それに対して、ぼくはどうやら、こんな風に言ったらしい…「F**k you.」

ぼくは(ペイリンが言ったことは)口汚い言葉だと思った。だから、ぼくも口汚い言葉で答えたんだ。

でも、本当を言うとフェアじゃなかったかもしれない。ペイリン知事だけに向かって言っているように聞こえたから。そうじゃなくて、よりアメリカ的である地域があって、ある一部の人が国を愛していて、他の人は愛していないという、このテーマ全体のことを言っていたんだ。

だから、本当はこう言いたかったんだ。「F**k all y'all.」(※)

※「F**k you」の田舎風の言い方。あえて訳すと、「おめぇらみんな、まとめてクタバレ!」ってとこでしょうか(笑)