先週のThe Daily Show with Jon Stewart(民主党大会編)

The Daily Showは普段は月〜木の放送ですが、今週はデンバーで行われた民主党党大会のカバーのため、火〜金(日本時間だと水〜土)の放送でした。

民主党党大会の通しのタイトルは「Guess Who's Coming to Denver」(デンバーに誰が来ると思う?)。これはもちろん、シドニー・ポワチエの「Guess Who's Coming To Dinner」(ディナーに誰が来ると思う?=邦題「招かれざる客」)のもじり。オバマさんが黒人であることにひっかけているのですね。

民主党大会のクライマックス、オバマさんの指名受諾演説はジョン・オリバーが聞きに行ってます。

The Daily Show with 2008/8/29

オリバー:オバマオバマ!オサマ!オサマ!あ、間違えた。…オサマ!

…まわりの民主党員に殺されますよ(笑)。

オリバー:(隣に立っていた美女に)感動的だね。
美女:ええ、オバマは素晴らしいわ。
オリバー:こんな特別な夜には、衝動的なことをしたくなるね(キスしようとする)

ジョン・オリバーがキスを迫ってきたら、受けちゃう女性も多いと思いますが…それではギャグにならないんでしょうね。

さて、この日はもうひとつ、マケイン氏の副大統領候補決定という大きなニュースもありました。(もちろん偶然ではなく、わざと合わせたんでしょうが。)1期目途中のアラスカ州知事、サラ・ペイリンという44歳の女性。

The Daily Show with 2008/8/29

スチュワート:マケイン上院議員オバマの経験のなさを散々攻撃してきたのに、72歳で、4回か5回癌を患ったことのある人が、副大統領って言うより「たどりつけばアラスカ」のスペシャル版にぴったりの経歴の持ち主を副大統領候補に選ぶのは妙な感じだね。

FOXニュース:(外交経験がないと言われているけど)彼女は国際関係について十分知っているはずだ。なにしろ、アラスカはロシアの隣だ。【観客爆笑】

スチュワート:(咳をするふりで)…アホか!でも、アラスカは北極にも近いから、サンタとも友達かもしれないね!これは意外な選択だったけど、少なくとも、ペイリン氏自身は準備ができているようだね。

ペイリン:副大統領について、私がまだ答えられない質問があるんです。「副大統領って、毎日何をするんですか?」

スチュワート:まあ、ほとんどは一日中ただ座って、世界で一番権力のある人間になる準備をしておくことだよ。

ペイリン氏の受諾スピーチからも明らかな通り、マケイン氏が女性を選んだのはもちろん、ヒラリーが大統領候補にも副大統領候補にも選ばれなかったことを不満に思うヒラリー支持者を取り込みたいという計算なんでしょうけど…

でも、このぺイリンさんというアラスカ知事は「ウルトラ保守派」で、ヒラリー・クリントンとは、政治信条的にはまったく正反対の人なのです。

それなのに、ただ女性だというだけで、ヒラリーの支持派が鞍替えすると考えるのは、かえって性差別的なことだと思いますが…

そのあたりを、産休から帰ってきたサマンサ・ビーが痛烈に皮肉っています。

スチュワート:ペイリン知事は、クリントン上院議員とは思想信条的には正反対だと思うけど、それでも投票するの?

ビー:婦人科的には同じよ。つまり二人とも、持っているものが…

スチュワート:言わなくていいから!でも、マケインは同一労働・同一賃金法に反対票を投じているのに…

ビー:おっぱいも持ってる!

スチュワート:ペイリンもマケインも、ロー対ウェイド判例(女性が人工妊娠中絶を選択することは憲法上の権利であると認めた判例)を破棄すべきだと主張しているし…

ビー:あー、私の「女の頭」にあんまり負担をかけないでくれる?ジョン・マケインは副大統領になるにはまったく経験不足の、あらゆる面で私の基本的価値観とは正反対の考え方の女性を選んだけれど、私は11月にはマケインに投票するわ。マケインは分かっているのよ、女性は頭で考えない、XXXで考えて投票するってね!

サマンサ最高!

ペイリン氏が副大統領候補に指名されることはデイリーショーも予測していなかったと思うので、急遽作ったセグメントだと思いますが、短いセグメントでこの問題が非常によくわかりました。さすが。