たまには真面目な話

ちょっと日付偽装。

先日、とあるIT企業の社員(30代独身男性エリート)の愚痴を聞く機会があったんですが…いやいや、その働きっぷりたるやはっきり言って狂気の沙汰ですね。ゴールデンウィーク前から、土日祭日含めて文字通り1日も休んでないそうです。

私が以前に働いていた会社でも(私は今は一応「自営業」の身です)、9時から5時まではびっしり会議が入っているので、書類仕事や方針を考えたりするのは5時から始めて10時ごろまで残業する、なんてのはよくあったんですが…

このIT企業の場合、夜の9時からとか10時からとか平気で会議があるんですよ。それと問題は、家に帰ってもメールはつながるし、1日100通以上処理が必要なメールが来るということ。だから土日は一日中メールの処理と書類仕事をしている。文字通り24時間・365日です。(もちろん「自由裁量労働」なので残業代なんかつかないけど、基本給が高給なので金銭的には問題ない。)

ちなみにこの企業は男女平等なので、女性も同じようなもんです。この人が言っていましたが、先日、夜中の1時のオフィス(もちろん、平気で大勢働いている)で20代の女性社員が泣いていた…それも「しくしく」じゃなくて「わんわん」泣いていた…ということです。

私の前の会社でも、上司に叱られてトイレでしくしく泣く女の子はたまにいましたけどね。そういうのとは根本的に違う気が…

国際的な企業なんで、ヨーロッパやインドや中国やアメリカとも始終電話で会議しているのですけど、たとえばヨーロッパの同じ仕事をしている人は、どんな状態でも平気で1週間ぐらいバカンスをとるのですね。それで、ヨーロッパやアメリカの場合はちゃんと代わりの人がいるので、休みを取れるのです。日本の場合はその人がいないと仕事が進まないので、休みなんか取れないそうで。

で、思ったのは…最近若い人の間で「蟹工船」とか売れているそうですが、「蟹工船」の時代ですら…そりゃあ環境はもっとずっとひどかっただろうし、冷暖房の効いたオフィスをタクシーで行き来する現代のホワイトカラーとは比べ物になりませんが…でも、彼らでさえ、こんなに24時間365日、「意識」が仕事に向きっぱなしっていうことはあったのかなあ、ということ。昔のきつい肉体労働をしていた人たちでさえ、仕事が終われば仕事のことは少なくとも「忘れる」時間はあったのではないかなあ。

まあその、強制労働じゃないんだから、できない事はできないと会社に言って自分で調整するしかないだろう、ってことなんですけど…それは自分を無責任で無能だと認めることなんですよね。「やる気がある、できる奴」になるというのが「身体を壊すか心の病気になるか、その両方か」ということとイコールで、それか「諦めて二線級として生きる」か二者択一、という世界。なんか、大変だなあ、というのを通り越して、しっかり根付いてしまった「絶望」を感じましたね。

この会社の人、アメリカやヨーロッパの仕事相手のことを「こんなに大変な状況なのに休暇なんか取って」とか、「電話会議が終わっていないのに、子供を迎えに行かなきゃとか言って帰っちゃったよ」とかよく怒っているのですが、よく考えると、それは日本の方がおかしいのではないかなあ…