先週のThe Daily Show with Jon Stewart

最近のデイリーショーは、相変わらず面白いのですが、ちょっと前に比べると、明るくて気軽に笑えるネタが多くなった気がする。やっぱり、あの人の任期が残り少なくなってきたからでしょうか。

7/28(月)
またまたゲイ関係のネタですみません。こっち方面は、とりわけ面白いセグメントが多いんですよね〜

なんでもアメリカ軍には「Don't Ask, Don't Tell(訊かない、話さない)ポリシー」(略してDADT)というのがあるそうです。

これはつまり、米軍はゲイの人の入隊を拒否するわけじゃないけど、軍にいる間はそれをオープンにしてはならない。その代わり上官も、部下がゲイかどうかについて調べたりはしない、というポリシーのことらしい。

入隊を拒否しているわけじゃないから差別ではない、という理屈かもしれないけど…軍隊って、多くの場合寝食を共にするし、兵士同士ってかなり親しくなるんじゃないかなあ。戦友の絆ってやつ?それなのに、自分がゲイだってことを隠さなきゃならなくて、オープンにしたらクビになるって…そりゃやっぱり、差別じゃないかなあ。

デイリーショーでは前にこれを、「アメリカ政府が再びテロ攻撃が起こることより恐れていることは…ゲイの英雄がそれを防ぐことだ。」と皮肉ってましたけど。

で、これは、このたび下院で「Don't Ask, Don't Tell」ポリシーの是非について公聴会が行われたというネタです。

The Daily Show 2008/7/28

スチュワート:軍隊におけるアンチ・ゲイの議論がどういう風に聞こえるか忘れている人がいたら…まあ、楽しんで。

元軍人の証人:寒冷地の夜間パトロールでは、時としてひどく冷え込むことがあり、凍死を防ぐ唯一の方法はできる限り近づき、肌と肌を寄せて温め合うことだという場合があります。そういう場合に、性的に興奮するようなことがあったら…

スチュワート:夜間パトロール中に勃起する兵士がいたとしたら、そりゃ「ゲイである」ということよりもっと大きな問題があるんじゃないの?

「服を脱いで温めあうんだ!」というギャグはよくありますが…本当にマジメにこんなこと言う人がいるなんて。爆笑してしまいました。

次なる証人は、「Center for Military Readiness」とかいう団体の代表、エレイン・ドネリーという人。この人は「私にも二人の娘がいるから」という、なんとも理解に苦しむ理由で、軍隊におけるゲイの受け入れに反対する活動に生涯を浪費し…捧げている人らしい。

エレイン・ドネリー:軍隊がゲイをオープンに受け入れたら、壊滅的な結果を引き起こすでしょう。軍隊は中途半端なことはしないからです。

スチュワート:ゲイであることが必須の入隊条件になるのか!軍隊は全員ゲイになる!

スチュワート:「Don't ask, don't tell」ポリシーが撤廃されたら、犠牲になる人がいると彼女は主張している…「ホモ恐怖症」の人々だ。

エレイン・ドネリー:軍隊でゲイがオープンになったら、考え方の違う人々は、最終的には除隊を余儀なくされてしまいます…

スチュワート:ジャッキー・ロビンソン(黒人として初めてメジャーリーガーになった野球選手)のせいで、多くの人種差別主義者の野球選手がチャンスを奪われたようにね。ロビンソンひとりのせいで、どんなに多くの才能ある若者が犠牲になったか…ただ、人種差別主義だったってだけで!

下院の名誉のために、クリップの最後には、議員たちもこういう「証言」を黙って聞いていたわけじゃないということもちゃんと出ています。しかし…

民主党の男性議員:わが軍のストレートの男女兵士が、ゲイの同僚に対処できないほどプロ意識に欠けているとでもお考えですか?

民主党の女性議員:(あなたの発言には)まったく驚きました。信じられません。

民主党の女性議員:今から10年、15年してこの公聴会を見直したら、私たちはみんな恥ずかしい思いをするでしょう。

スチュワート:下院って、何でも先延ばしにするんだなあ。今すぐ恥ずかしがっていいんだよ!


7/31(木)
もう1個。

The Daily Show 2008/7/31

スチュワート:選挙の季節も大詰めに近づいて、大統領を選ぶだけじゃなく、大統領に誰を選んだらいいか教えてくれるテレビ局も選ばなくちゃならない。他の局のは売り込んでいるけど…
(24時間ニュース専門局MSNBC、FOX News、CNNの選挙報道コマーシャル)

スチュワート:(寝ている)…え、今何か、本当じゃないことを言った?

今年は、グラフィック倒れで期待はずれのキャスターたちを選ぶ事はないよ。今年こそ、われわれの番組を選べばいい!【観客歓声】

ナレーター:モンゴルの選挙報道トレーニングセンターで鍛えたBest F**king News Team Ever!

スチュワート:我々がニュースを最初にお届けします…それが真実になる前に!

ナレーター:海兵隊員!(ロブ・リグル)イギリス人!(ジョン・オリバー)女!(サマンサ・ビー)ジェイソンのクローン!アッシフ・マンドヴィとかいう人!自分が養子だということを知らない新入りの子!(ワイアット・セナック)

ワイアット:何だって?!

Pure Awesomeness!!

もちろんデイリーショーはニュース番組じゃありませんから、これは24時間ニュース専門局の大げさなコマーシャルをおちょくった冗談なんですけど…

アメリカでは実際、「デイリーショー」を主なニュースソースにしている人がたくさんいるらしい。怖いのは、実際にそうした方が、他のニュース局に頼るより良識ある選択ができそうだってことです。

ちなみに気がついたんですけど、The Daily Show公式サイトによると、2004年の選挙の時の「ニュースチーム」はスティーブン・コルベア、スティーブ・カレル、ロブ・コードリー、エド・ヘルムズ、サマンサ・ビーで…サマンサ以外は全員「アメリカ人、白人、男性」でした。

それに比べて、今年のチームは…オリバーはイギリス人、ジェイソンはカナダ人、アッシフはインド人でワイアットは黒人…アメリカ人白人男性って、(ジョン・スチュワートを別にすれば)ロブ・リグル一人なのですね。時代の流れなのか、The Daily Showダイバーシティ(多様性)を向上させようと努力しているのか。それでもやっぱり、女性は少ないのは残念ですけど。

あ、ちなみに…「Indecision 2008」というのは、コメディ・セントラルの選挙ネタの共通タイトルです。選挙のテーマによくある「Decision 2008(決断2008)」をもじって、「優柔不断2008」というわけ。2000年から始まって、2002、2004、2006とやっている(2002、2006は上下院の中間選挙)いまや歴史ある(?)タイトルです。