【映画感想】カンフー・パンダ ☆☆☆1/2

よく、アメリカの子供向きアニメの絵柄を見て(「スポンジ・ボブ」とか)、「可愛くない、これがカワイイと思うアメリカ人の感覚ってわからない」と言う人がいますが…あれって、もともと別に「可愛さ」を目指しているわけじゃないんじゃないかなあ。アニメキャラ=可愛くなくちゃ、というのが思い込みですよね。

まあ、「とにかく何でもかんでも可愛く」という日本の趣味も、ひとつの文化としてヨーロッパでウケているそうだから、それはそれで悪くないんでしょうけど。

とにかく、この映画のパンダの「可愛くなさ」は素晴らしい。ぷくぷくと太ったパンダというのは、うっかりすると可愛くなってしまう…というか、むしろ可愛くしない方が難しいと思うのですが…このパンダは、見事なまでに「丸々とした動物」の太り方ではなく、「運動不足の中年男」の太り方になっています。あの腹の波打ち方…たまりません(笑)。

正直に言うと、カンフーの動きの描写は速すぎて、私の動体視力では厳しいものがあるのですが(トシだなあ)…やたらにスローモーションになったりするよりはいいかな。

これってきっと、カンフー映画好きの人にはもっとずっと楽しめるのでしょうね。でも、「燃えよドラゴン」と「カンフーハッスル」ぐらいしか見たことのない私でも、十分楽しかったです。

<以下ややバレ、および余談>


一見、とりえのなさそうなパンダが、「脂肪がクッションになるせいか、やられてもあまりこたえない」「食べ物がかかっていると別人のように敏捷になる」という長所を生かして強くなるというのは、まあそれほどユニークな発想というわけじゃないけど…話として無理がないし、「元はラーメン屋」というのが後で生きてくるのも上手いと思いました。

<以下余談>

このアニメ、昔の中国を舞台にしているのに、主人公のパンダがやたらにアメリカの若者言葉(特に"awesome")を使うのが可笑しいのですが…「blinding his enemies with sheer awesomeness」(あまりのawesomeさに、それだけで敵の目がくらむ)には笑いました。

awesomeを「イケてる」と訳しているのは、ぴったりの訳だと思いましたけど、名詞形(awesomeness)を「イケてさ」としていたのは、さすがにちょっと苦しいかなあ。難しい。

余談ですが、ブッシュ大統領は若者でもないのに「awesome」という単語を使いすぎると言われています。先日、ローマ法王が訪米した時、法王のスピーチの後で「Thanks, your holiness, awesome speech」と言ったという話。

訳すと、「ありがとう法王閣下、イケてるスピーチでした」でしょうか。アメリカのカトリック教徒が一斉に頭を抱えたことでしょう(笑)。