スティーブン・コルベア研究(2)

昨日の「チャーリー・ローズ」のインタビューの続きです。

Charlie Rose interview of Stephen Colbert

続いては、例のホワイトハウス記者クラブ晩餐会の話。(3/14のエントリー参照)

22:25ごろ
ローズ:(スピーチが終わって)帰る時、大統領は何と言ったのですか?

コルベア:大統領は立ち上がって、ぼくと握手して、「よかったよ(Well done)」と言いました。

ローズ:それは心から?

コルベア:そうだと思います。

ローズ:あなたはどう思いましたか?

コルベア:ええ、出来には満足していました。

ローズ:あれにはすごい反応がありましたね。

コルベア:ええ、驚いたのはその反応でした。テレビで見ても、あの会場で何が起こっているのかはわかりにくいと思います。ぼくは演台にいて、なにしろ、あそこには3000人いたのですから…ジョークがあまり受けなくても、1000人ぐらいは笑っている。誰かを怒らせたという感覚はまるでありませんでした。

スピーチが終わって座ったとき、誰も目を合わせてくれなかったので、その時はじめて「どうしたんだろう?」と…ヘレン・トーマス(※)だけは、「ほんとによかったわよ〜」と言ってくれましたが…

ローズ:(インターネットで)騒ぎになっているのは、すぐに知りましたか?

コルベア:いいえ。その日(土曜日)はホテルに帰って、そのまま寝て、翌日ニューヨークに帰って…月曜日に仕事に行って、脚本家のひとりに「インターネット見た?」と言われて初めて知りました。肯定的なのと、否定的なのと両方のリンクを送ってもらって読んだのですが、その後はもう送らないように言いました。

ティーブンが、大統領とか政府のお偉方とか記者クラブの記者たちからの反応を考えずに、ただただ笑いをとるためにあのスピーチをやったとは、やっぱり信じられないのですがね。自分からは絶対言わないだろうけど、反応も影響もちゃんと計算してやったのだと思います。

でも、その後のこのスピーチの「社会的影響」ってやつについては、あまり考えていない、考えないようにしているというのは本当だと思います。スティーブンは今でも、あのスピーチに関する記事は一切読んでいないそうです。

ビル・モイヤーズのインタビューでジョンも言っていたけど、二人とも自分たちのやることにどんな社会的影響があるかとか、考えちゃうとダメだと思っているみたい。結果として社会的影響があったとしても、それを特に喜んでもいないし、むしろ考えたくないと思っているような。

このチャーリー・ローズさんの番組にはジョンも3回出ているのですが、2004年のインタビューで例の伝説的「Crossfire」出演時の自分のビデオを見せられた時、ジョンは本当に本当に嫌そうで、なんか死にそうな声を出してましたね。

「コルベア・レポー(ト)」と、彼の興味について

26:50
コルベア:番組を始める時に、ジョンが言ったのです…この番組は基本的に、ぼくとジョン・スチュワートとベン・カーリンの三人で一時間ぐらい話した内容から生まれたのです。今でもその会話を書き留めたものをデスクの上に置いています。今でもその時のアイデアを元に作っているのですが…ジョンは、「君は何に興味がある?」と聞きました。「自分の興味のあることを番組にすれば、飽きる事はない」と。

ぼくは自分の興味のあることについて、番組でよく話します。宗教についてよく話をしますが、それはぼくが宗教に興味があるからです。好奇心を持ち続ければ、飽きる事はない。

そう、引用したかったのはここでした。スティーブンが「宗教に興味がある」という時、それは自分の宗教であるキリスト教だけじゃなくて、イスラムユダヤ教仏教あたりのメジャーどころはもちろん、ヒンドゥー教やら南米の小部族の信仰やら、いろいろよく知っていますね。もちろん日曜学校の先生だけあって、聖書にもめちゃ詳しい。

宗教でも文化でも何でも、自分のとこ以外のものについて、好奇心を持つこと、ごく浅い基本的なことでいいから、とにかく知識を持つということが、差別をなくす第一歩じゃないかと、スティーブンを見ていると思ったりします。

※ヘレン・トーマス:ベテラン女性記者で、大統領広報官に恐れられるホワイトハウス記者クラブきっての硬派。スティーブンがスピーチの一部として使ったビデオに、「広報官になったスティーブンを厳しい質問で追いつめる怖い記者」の役で出演している。