スティーブン・コルベア研究(1)
Charlie Rose interview of Stephen Colbert
えーと、実は「The Daily Show」の、スティーブンがやっていたコーナー(This Week In God)について書こうと思ったのですが、その背景としてこのインタビューでスティーブンが言っていたことを引用しようと思ってもう一度見たら、このインタビュー自体が面白くなってしまって。というわけで、またしても長文失礼します。
珍しい100%「素」のスティーブンです。スティーブンはインタビューを受けるときもキャラに入っていることが多いので、「素」のスティーブンというのはとても貴重なのです。
前に彼のことを「ひとつひとつのエピソードがつながらない、謎の人」と書いたのですが、このインタビューを聞くと、少し分かってきたような。
改めて、ほんとうにほんとうに面白い、興味のつきない人です、スティーブンって。スティーブンという名前の人はみんなそうなのか?(笑)
最初は「The Colbert Report」とジョン・スチュワートの話。
2:30ごろ
コルベア:ジョンはニュースの中の偽善を指摘するのに対して、ぼくはキャラクターとして偽善を体現するのです。その(Rolling Stones誌の表紙を見ながら)ジョンはジョンですが、ぼくはぼくでなく、「スティーブン・コルベア」というキャラ("Stephen Colbert guy")を演じているのです。
3:40ごろ
コルベア:ジョンは…人が彼をどう考えていようと…すばらしくバランスの取れた考え方をする人です。保守派であろうとリベラル派であろうと、その人の発言の本当の意図を知ろうとします。「正直にからかう」ことができるように。
5:25ごろ
ローズ:この数年間で、(ジョン・スチュワートとあなたの)関係は変わりましたか?
コルベア:ジョンはとても寛大で、ぼくを対等の人間として扱ってくれます。
ローズ:それで、あなたは彼を…
コルベア:幸いなことに、今では、ぼくも彼と対等の人間としてつきあうことができるようになりました。彼はとても協力的で、寛大で、誠実な人ですから。
ローズ:あなたは11人兄弟の末っ子ですから、最初は彼のことを、ある意味で兄のように感じてたのではありませんか。
コルベア:今でもそう感じています。彼は先輩ですし、数字的にもより成功しているし…でも、それだけではなくて、彼と彼のスタッフは番組にたいへんな努力を注ぎ込んでいて、そこから多くのことを学びました。
13:25ごろ
コルベア:…ぼくはキャラクターの陰に隠れているので、いろんなことが許されます。ジョンはそうはゆかなくて、ジョン自身がそれで判断される。ぼくには保護してくれる仮面があるわけです。
ローズ:あなたの番組のすごいところは…ジョンには大勢のサポーティング・キャストがいるし、基本的には彼自身として番組に出ているわけです。
コルベア:いくらかは演じているところもありますが、たしかにあれはジョンです。
ローズ:一方、あなたはキャラクターを作り出し、番組の間中ずっと出ずっぱりです。ずっと出ているのに、あなたはいない。
それでも、時々「地」がにじみでることがあって(character breakと呼ばれる)、そこがまたいいんですけどね。
スティーブンは11人きょうだいの末っ子。兄が7人、姉が3人いるのですが、10歳の時(1974年9月11日)に、父とすぐ上の兄二人を飛行機事故で亡くしています。そのあたりの話。
20:10ごろ
コルベア:32年経った今でも、父と一番近い兄二人を失った影響を把握することはできていません。ぼくの家族は、ジミー・エディ・マリー・ビリー・モーガン・トミー・ジェイ・ルルー・ポール・ピーター・スティーブンで、ポールとピーターが死んだのです。その上の姉とは10歳近い差があって…
ローズ:二人は何歳だったんですか?
コルベア:14歳と…16歳。ぼくは10歳でした。「母を笑わせたいと思った」というのは確かにあって、そういう影響も一部にはあったかもしれませんが、それで後にコメディアンになったとは思いません。
学校の勉強はしなくなりましたね。本ばかり読むようになりました。葬儀の後、ひどい頭痛がして、兄のエディの家に泊まったのですが、本棚にSFの本があって…その後は、ほとんど1日1冊のペースで本を読んでいました。
何もかも、大事だと思えなくなってしまいました。兄たちが死んだ後では、どんな説教もどんな脅しも馬鹿馬鹿しく思えたのです。ぼくは怠け者だったと思います。真面目に努力するには(失敗を)怖れる心が必要だから…ぼくには、どんなことも怖いと思えなかった。
スティーブンがSFとファンタジーとRPGのオタクになったのは、そういうきっかけだったのか…
スティーブンが「ジミーエディマリービリー…」と、きょうだいの名前を一気に言うというのは他のインタビューでも何度か聞きました。微笑ましいのだけど、「…ポール・ピーター・スティーブン」のポールとピーターが死んだことを思うと、ちょっと…かなり切ないですね。
(つづく)