ゼア・ウィル・ビー・ブラッド ☆☆☆1/2

石油屋とキリスト教原理主義の宗教屋…アメリカの諸悪の根源を描いた映画ですね。(いやマジで)

ユニークで面白い、よくできた映画なのですが…私、こういう、登場人物の誰にも共感できない映画って苦手なんですよね。まあ、好みの問題。

それと、こういう…いい人とはとても言えない野心家が主人公の映画を見ると、時々思うのですが…「この人は、何が楽しくてこんなに一生懸命金持ちになろうとしているのだろう?」

なにも、「金があっても愛がなければ」とか、「まわりの人を幸福にしないと自分も幸福にはなれない」とか、そういうムズカシイことを言っているわけじゃないんですよ。単に、せっかく富を築いたんなら、もうちょっと…浅い意味でも深い意味でも人生楽しまなきゃ、何にもならないと思うんですが。ダニエル・デイ・ルイス演じる主人公は、映画の最初から最後まで、ちっとも楽しそうじゃない。でっかい家を建ててボーリングレーンとか作っても、とってもつまらなそう。大金持ちなのに床に寝てるし。

それに、毎日あんな表情ばっかりしてたら、顔の筋肉だって疲れそうだ。

それとも…こういうふうに瑣末なことでしつこく恨みを抱いたり晴らしたりするのって、本人としては楽しかったりするんでしょうかね?わからん。

もちろん、役者見物という点では見ごたえのある映画です。ダニエル・デイ・ルイスはもちろんですが、それよりすごいと思ったのが、若い宣教師を演じたポール・ダノ。信念とカリスマ性とエネルギーをそなえたアホの怖さを、あますところなく表現しています。最近知ったけど、アメリカには現実にこういう人、いっぱいいるんですね。しかも、もっと大きなスケールで成功してたりする。

以下ちょいばれ

えーと、最後にポール・ダノがダニエルに会いに来て、「罪に落ちてしまった、神は警告してくれなかった…」と言った時、私はてっきり「あ、こいつ、隠れゲイだったんだ」と思ってしまいました。…違ったんですけどね(笑)。だってそれって、この手のヒトのパターンみたいなんだもん。