【映画感想】ロビン・フッド ☆☆☆☆

日本公開があまりに、あまりに、あまりに遅かったので(何度も言うけど、他の国(韓国などアジア諸国含む)ではみーんな5月に公開されている「ハリウッド大作映画」が、日本だけ12月公開と最初から決まってるって、納得できる理由があったら誰か説明してくれ)、キレてブルーレイで先に見てしまいましたが(9月)、映画館でも1回ぐらい見ておこうと思って行ってきました。

映画館で見てよかったと思った点は、戦闘シーンの迫力もさることながら、中世イングランドの森の深さが実感できたことでしょうか。

イングランドと聞いて「雄大な自然」を連想することはあまりないのですが、この映画を見ていると、イングランドもフランスも、人の住んでいる部分なんていうのはほんのちょびっとで、あとは鬱蒼とした森が延々と続いている...という実感があります。

だから、主人公たちが映画の最後にアウトローとなって「森に住まうもの」になるのが、実に似つかわしく感じます。

それに、人の住んでいるところも、貴族の館や王宮でさえ、もっと時代の下ったベルサイユ宮殿みたいのと違って、石むき出しのだだっ広い部屋にところどころ絨毯が引いてあるだけって感じ。城の外観も無骨だし。あれに比べたら、現代人のわれわれは庶民でさえ、昔の王侯貴族が夢にも見なかった贅沢な暮しをしているのですなあ。と、話がそれました。

とにかく、そういう、意外ときらびやかでないところを描いているにもかかわらず、この映画にはすごく、豊かで贅沢なものを感じるのです。「貧乏」と「貧乏臭い」は違うので、レディ・マリアンの領地ノッティンガムは貧乏をしているのですが、貧乏臭くはない。

リドリー・スコット監督の演出もまた、そういう豊かな感じに貢献しているのでしょう。「悠々迫らざる」という感じ。ゆったり構えた感じなのだけれど、テンポが遅いわけではない。自分の描きたいものがよくわかっている余裕というか。

ブルーレイの解説では、相変わらずしゃべりまくってますけど、りどりん(笑)。映像派(?)のくせに、喋る方も達者な人です。

ケイト・ブランシェットマックス・フォン・シドーマーク・ストロングと、役者の方もどこを取っても文句なしなんてすが、やっぱりここはラッセルですね。

まず、ここ2〜3作に比べてあまりに痩せて若返っていて、初見でびっくりしてしまったのですが。かと言って一時のデニーロみたいに、「この役のためにXXキロ落として/増やして...」と、ことさらに騒がれるような感じもない。どんな役でも、見始めるとすぐ「これが地なんだろう」と思えてしまうのが彼の特徴なのです。

要は、リドリー・スコットラッセル・クロウも、「自分のやっていることをよく分かっている」人たちで、何をやっても安心して見ていられるのでした。