大統領登場(今週のThe Daily Show)

今週のThe Daily Show with Jon Stewartは、いよいよ11月2日に迫った中間選挙の特集で、ワシントンDCで収録を行っております。で、水曜のゲストには、オバマ大統領が登場しました。

The Daily Show with Jon Stewart 2010/10/27 Barak Obama Part 1

The Daily Show with Jon Stewart 2010/10/27 Barak Obama Part 2

The Daily Show with Jon Stewart 2010/10/27 Barak Obama Part 3

現職のアメリカ大統領としては初めての登場で、デイリー・ショーとしては初めて、番組のすべてをインタビューに費やしました。約25分。

ジョンはどんなゲストでもたいがい敬意を持ってインタビューしてますが、さすがに大統領ですから、敬意もいつもより1レベル上という感じで、ジョークもかなり控えめ。ジョンが話している時間がいつものインタビューよりずっと少ない感じでした。

でも、甘い質問ばかりしていたかというと全然そんなことはなくて、かなり鋭く突っ込んでいましたね。特に、医療保険改革の件。ご存じの通りアメリカの医療保険改革はモメにモメたあげくようやく成立したのですが、共和党の(ヒステリックなまでに)強力な大反対の嵐に遭って相当な妥協を強いられ、とくにPublic Option(公的保険オプション)がなくなってしまったのはかなり本質にかかわる妥協でした。

私はアメリカ在住でもないのに、この件に関してはなぜか非常〜に興味があり、(今までのブログも読んでいただければわかる通り)成立までかなりぴったりウオッチしてきたのですが、パブリック・オプションが消えた時は、なんか我が事のようにがっかりしたものですよ。

ジョンはこのインタビューで、その医療保険改革を「timid(及び腰)」と評しています。

それに対して大統領は、この法案のおかげで保険を得られた人が三千万人いるのに、「及び腰」とは思わない、と答えています。保険料を払っていたのに病気になったら保険金を支払い拒否したり、子供に対して既往症を理由に加入を拒んだりすることを保険会社に禁じたし...目指したところの90%は達成したのに、できなかった10%にばかり注目することはない。

ジョンは、医療保険制度も他のこともそうだが、根本的なシステムが壊れているのに、本質的な改革をせずに、壊れたシステムの上に改善を加えているだけのように思える、これは大統領が就任した時に多くの人が期待していたことと違う、と。

大統領は、根本的な制度は一晩で変わるものではない、と。社会保険制度も、公民権も、最初は非常に限られていたが、年月を経て拡大され、アメリカ社会に不可欠な制度となってきた。進歩的な政策はみんなそうだ。ここから進化してゆく第一歩を作ったのだと。

とにかく、良いインタビューだったと思います。すごく頭が良くて、自分の話していることについてとことん理解している二人の人間が、大声を出さず、失礼な言葉を使わず、相手の言葉を遮らず、冷静に議論をするっていうのは、実にいいもんですなあ。

で、今夜はいよいよ「The Rally to Restore Sanity(正気を取り戻すためのラリー)」。こちらでストリーム中継される模様です。

http://www.comedycentral.com/dcrallylive/

あちこちのブログやフォーラムに、ワシントンへ向かう人、到着した人の書き込みが。スティーブン・コルベアのファンブログ「No Fact Zone」の管理人さんも。

http://www.nofactzone.net/2010/10/29/the-rally-thus-far/

写真は、ワシントンの空港のロビーで「ラリーに行く人〜!」と声をかけたら、こんだけの人が手を挙げたというところ。すごいなあ。