アフリカのワールドカップ(先週のThe Daily Show with Jon Stewart

ジョン・オリバーが南アフリカに行って取材したワールドカップ・セグメントの第一弾。

The Daily Show with Jon Stewart 2010/6/24 World Cup 2010 Into Africa - Goal Diggers

南アフリカ・ワールドカップについての報道って、純粋にサッカーのみの話か、でなければ「治安が悪くて取材陣もサポーターも命がけ!」みたいな話ばかりで、こういう切り口の取材って初めて見た気がする。これは日本のマスコミに限った話じゃないらしく、アメリカのフォーラムでも、「どうして、こういう側面を取り上げるのが『The Daily Show』だけなんだろう?」という感想が出てましたね。

ワールドカップにしてもオリンピックにしても、高度に商業化されているイベントであることは間違いないわけで、まあそれはしょうがないというか、別にかまわないと私は思っています。一時のオリンピックみたいに、実質はみんなプロ同然やステートアマなのに、建前だけアマチュアリズムを掲げて思い切り矛盾していたのに比べれば、いっそすっきりしてますよ。そもそもアマチュアリズムなんて、金のために働く必要のないことがステータスとされたヨーロッパ貴族社会が生み出したタワゴトで、それを「清貧」とごっちゃにしてしまったのが日本人の大いなる勘違いなわけですが...と、話がそれた。

ともかく、FIFAがワールドカップに公式スポンサーをつけまくり、いろんな権利を切り売りして大企業から金をしぼりとっているのは、それ自体は別に悪くないと思うのです。しかし今回、「アフリカ大陸での初のワールドカップ」を売りにして、そこに意義を見出そうとしたとき、ちょっと居心地の悪い矛盾も生まれてくるわけです。

例えば、スタジアムから1km圏内はコカ・コーラマクドナルドなどの公式スポンサーのみが営業できて、地元の人々が経営する売店は離れたところにしか店を出せない決まりとか。こんなん、知ってました?「デイリー・ショー」で初めて聞きましたよ。

「『アフリカの』ワールドカップを売り物にしているくせに、大スポンサーばかり優遇して地元民をないがしろにしている」と怒る地元の商店主。旧宗主国から来たジョン・オリバーが、「大国の利益のために地元民がないがしろにされる、これほどアフリカらしいことはないじゃないか!」と危ないジョークを返すと、意外にも、気持ちがよいほど大笑いしてくれました。ユーモアのセンスがあるなあ。

インタビューで、「アフリカらしさ」を出さなくてはいけないけれど、出しすぎてもいけない、世界の人々がちょうど快適に感じる程度の「アフリカ」を前面に出して...と語るFIFAの役員。正直だなあ。

でも...たとえそういうことがあっても、アフリカでワールドカップをやるっていうのは、やっぱり意義のあることだと思います。

地元の人たちと草サッカーを楽しみ(いつもポッドキャストの番組で自慢しているだけあって、なかなか上手)、一緒に開幕戦を見て、「完璧ではないかもしれないけれど、素晴らしい」とつぶやくジョン・オリバー。

しみじみと、いいセグメントでした。