完璧な嵐とボロ船、またはある兄弟(今週のThe Daily Show with Jon

まず一言...2日遅れだけど、ティーブン・コルベア、誕生日おめでとう!

でも今日は「The Daily Show with Jon Stewart」の方から。

5月6日、ニューヨークの株式市場が、何の理由もなく突然暴落し、その後すぐまた急激に持ち直すというめちゃくちゃな乱高下をしたことは、経済ニュースでご存知かと思います。(私は経済にうとい方なんですが、さすがにこのニュースは聞きました。)

当初は「トレーダーが売るとき、キーを打ち間違えて3桁大きい数字を入れてしまったことがきっかけ」という「人為的ミス」説が報道されましたが、どうやらそのような事実は発見できなかったようです。

では、何が原因なのか?それはいまだにはっきりしないようなのですが...とにかく、きっかけが何にしても、ちょっとしたことでこういう乱高下を繰り返すような市場では困るわけで。ニューヨーク株式市場(NYSEユーロネクスト)は、それを防ぐシステムを持っているそうです。でも、今回はそれが機能しなかった。それは、NYの株取引をNYSEが独占しているわけじゃなく、他にもナスダックなどの市場があって、それぞれがバラバラなシステムで動いているから...だそうです、下の「ウォール・ストリート・ジャーナル日本版」の記事によれば。NYSEがブレーキをかけても、他の市場に流れるだけなんですね。

http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Finance/node_58679

...で、何でまた私が経済ニュースのことなんか書いているのかって?

それは、このNYSEユーロネクストのCOO(最高執行責任者)で、システム方面の統括責任者(多分)のラリー・リボウィッツ氏(Larry Leibowitz:下の記事では「レーボヴィッツ」と表記されている)が、ジョン・スチュワートのお兄さんだからです。

11日、お兄さん...じゃなくてLeibowitz氏は、6日の件を受けて議会で証言し、統一されたシステムの必要性を主張したそうです。

http://www.bloomberg.co.jp/apps/news?pid=90920012&sid=afXdR.NpclQM

うむ、やっぱりちょっと似てるね。

一方、弟の方はといえば、10日に「ウォール街の悪夢」と題して、この件を取り上げたセグメントをやっています。


The Daily Show with Jon Stewart 2010/5/10 A Nightmare on Wall Street

6日の急落のはっきりした原因が結局わからないということで、ニュースや経済評論家は、口をそろえて「これは『パーフェクト・ストーム』だ」と言っているそうです。

「パーフェクト・ストーム」とは、ある漁船の沈没事故を取り上げたノンフィクション本(ジョージ・クルーニー主演の映画になっていました)からきている言葉で、「あらゆる悪条件が不運にも重なって起こる、めったにない大災難」という意味で使われています。つまり、この株式急落は、たまたま不運にもいろんな悪条件が重なってしまったからだ、というわけ。

ところが問題は、経済評論家たちが株式が急落するたび、あまりに頻繁にこの「パーフェクト・ストーム」というフレーズを使っていることなんですね。

ジョン・スチュワート:どうして、当然予測しておくべきなのに予測していなかったことが起きた場合、百年に一度ぐらいしか起きないはずなのに、なぜか2週間に一度ぐらい起きている「パーフェクト・ストーム」のせいにするんだ?

これは、「パーフェクト・ストーム」なんかじゃないという気がしてきた。これはただの普通の嵐で、われわれの船がボロなだけなんじゃないの?

ジョンの言う「ボロ船」っていうのは、こういう乱高下を繰り返す経済のシステム全体を指しているわけだけど...考えてみりゃ、お兄さんが統括しているNYSEのシステムもその「ボロ船」の一部なんじゃ...?(笑)そのボロ船を修理しようとがんばっているのが彼だとも言えるのだけど。

同じ事件について、兄は議会で証言し、弟はテレビで風刺している。なんかおもしろい(笑)。