オーブリー&マチュリン「21」(その13)

今回は短いです。

そういうわけで、これ以上険悪な雰囲気になるのを避けるために、クリスティーンはブリジッドちゃんとパディーンを連れて兄のエドワードの領地(イングランド北部)に行った方がいいんじゃないか、とソフィーは考え始めているようです。とりわけ、クリスティーンに興味を示し始めているミラー大尉(Captain Miller)を避けるためにも...

「キャプテン・ミラー?聞いたことないな。どの艦?」とスティーブン。「いやいや、ただの陸軍将校だよ。近くに荘園を持っているのだけど、いやな奴で、顔を合わせても挨拶ぐらいしかしない。シエラレオネに駐屯していたこともあるらしい。」とジャック。

このミラー大尉がシエラレオネ時代にクリスティーンと知り合いだったのか、それともウールコムに来てから知り合ったのか分かりませんが、とにかく若くて美人で金持ちの未亡人ということで、さっそく目をつけられているようです。彼女はスティーブンと正式に婚約しているわけじゃありませんからね。それどころか、プロポーズに正式にイエスの返事もまだもらっていないのであった。

クリスティーンはこのミラー大尉を嫌っているようだし、彼女は未亡人の身で結婚を強制する親がいるわけじゃなし、断ればいいようなものですが...でも、当時の上流社会なんて狭い世界だから、地位のある男のプロポーズをはっきり断ると、やっぱりいろいろマズイようです。だから、話がそこまで行かないうちに逃げるが勝ち、なのかも。

ティーブンも、早くはっきりさせた方がいいのかも...それにしても、当時の女性は本当にいろいろと不自由ですなあ。お気の毒。

ここでキリックがトースッテッド・チーズを運んできて、二人で黙々と食べた後、ジャックが言いました。「実は、ニュートン級の名案を思いついたのだけど...今夜一晩、手紙をよく読み返してもう一度考えてみるよ。朝食の時にもう一度話そう。」

ここで第2章はおしまい。次回から第3章。