オーブリー・マチュリン「21」(その0)


Patrick O'Brian 21: The Final Unfinished Voyage of Jack Aubrey

パトリック・オブライアン氏は、2000年1月2日に亡くなりました。85歳でした。

彼の代表作である「ジャック・オーブリー&スティーブン・マチュリン」シリーズは、1969年の「Master and Commander」(邦題:新鋭艦長、戦乱の海へ)から1999年の「Blue at the Mizzen」まで、30年にわたって20作が出版されたわけですが、オブライアン氏は20作目の出版後も、死の直前まで次作を書き進めていました。

2004年に出版された「Patrick O'Brian 21: The Final Unfinished Voyage of Jack Aubrey」は、出版社にFAXなどで送られてきていた未校正の原稿を、そのままの形で出版したものです。同じ内容の手書きとタイプの原稿を、タイプを左側のページに、手書きを右側のページに並べて載せるという形が3章まで、加えて手書きのみの部分が4章の途中まであります。

この、チェックも何も入っていないそのまんまの初稿を読みながら、オブライアン氏の読みにくいクセ字の手書き原稿を眺めていて...もしかしたら私の「感想」も、今までみたいにある程度まとまったフォーマットで定期的にという形ではなくて、もっと思いつくままどんどん書いていくという自由な形がふさわしいのではないかという気がしてきました。

まあ、その、正直に言えば、今までの形式に飽きたっていうのと、HTMLに変換するのが面倒臭いっていうのもあるのですけどね。

というわけで、「21」の「感想」はこのようにブログ上で不定期に書いてゆきますのでよろしく。ある程度まとまったら、後でHTMLにまとめてサイトの方に載せますが。

上の画像は、ジェフ・ハントによる表紙絵。ジェフ・ハントは「オーブリー・マチュリン」シリーズのすべての表紙絵を描いた画家です。たいがいは、帆船や海を緻密なタッチで美しく描いているのですが、この「21」の表紙絵は、内容が未完成であることに合わせて(多分)、あえて荒い、未完成なタッチで描かれています。

手前の戦列艦が、今回rear admiral(少将)になったジャックが指揮するサフォーク号、左奥の艦がサプライズ号、その隣の小さいのがリングル号と思われます。