【映画感想】ワールド・オブ・ライズ ☆☆☆1/2

感想はまとまっていないので何回かに分けますが、最初はいきなりキャラ語りからゆきます。

ラッセル・クロウの役、エド・ホフマンですが…なんか、彼は「悪役」と認識されているの?私は悪役だとは思わないのですが。まあ、善玉というわけでもないけどね。

いわゆる悪役でも、いわゆるヒーローでもなく、何かの象徴というわけでもなく…「ただ、ああいう人なんだ」と私は受け取ったのですが。

「こういう過去があるからこういう人格になった」とか、「この映画の中でこの人はこういう役回りだから」とかいうのは一切なしで、とにかく「この人はこういう人なんだ」といきなり納得させてしまうというのは、実は演技としては一番難しいんじゃないかと思いました。それを軽々とこなしてしまうラッセルは、やっぱりすごいわけです。(<ファンの贔屓目と思ってくれて結構ですが。)

ラッセルの役も、レオの役もそうですが、リアルに感じました。もちろん、私はCIAに知り合いなんていないから、本当にあれがリアルかどうかなんて分かるわけないんですがね。でもなんとなくリアルに感じたのには、二つ理由があります。

<今回は特にネタバレなし>

実は最近仕事で、アメリカとかヨーロッパとかと電話会議などすることが多いのですが、特にアメリカでは、時差の関係もあって、会議相手が自宅から参加していることが多くて、犬の声とか赤ん坊の声とかがBGMに聞こえるなんてことが多いのですよ。「子供を迎えにゆかなくちゃ」で会議が終わることもあるし。(<これは男女問わず。)

この映画のエドも、子供の送り迎えしたりサッカーの試合を見たりしながら電話で仕事しているのですが、こういう働き方というのも、ほんとに普通になっているんだなあと思って。

エドは別に、普通の家庭人のふりをしてスパイをやっている二重生活者、ってわけじゃないんですよね。(一昔前の映画なら、そういう描き方になったのでしょうが。)ただ、こういう働き方でこういう仕事をしてるっていうだけで。

でももちろん、この映画ではやってる仕事の内容がまったく普通じゃないんですけどね。そのギャップがまた面白いのですが。

もうひとつは…こういう、CIAとかテロ対策の仕事をしている人が引退した後、よく本を書いたりするのですよね。それで本を出すと、デイリーショーに宣伝に来たりする(笑)。で、そういう人たちを見ていると、本当に普通の人に見えるのですよね。外見も、喋り方も、仕事への取り組み方とかも…やっていた仕事の性質は、明らかに普通とはいえないのですが。

なんか、そいういう…やってることは特殊でも、仕事のやり方とか生活とか人間そのものっていうのは案外普通だったりするっていう現実が、このエド・ホフマンというキャラクターに凝縮されているようで、実に面白いキャラだと思ったのです。

ほんと、この映画、面白いと思うけどなあ。なんで評判悪かったかなー。