映画で選ぶオバマの副大統領候補

オバマ氏の副大統領候補は、大方の予想通りバイデン上院議員に決まったようですね。

http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPJAPAN-33414720080823

大統領候補と副大統領候補の組み合わせのことを「チケット」と呼ぶのですが、副大統領候補を選ぶ時は、だいたい大統領候補自身の支持層が弱いところに強い人を選ぶことが多く、これを「チケットのバランスをとる」と言うようです。

ちょっと前に「The Daily Show」でやっていた、「シニア黒人問題特派員」のラリー・ウィルモアによるオバマの副大統領候補選びに関する抱腹絶倒のセグメント。

ラリー・ウィルモアは、真面目な顔をしてとんでもないことを言う「deadpan」と呼ばれるしゃべりが抜群にウマいのよね。

The Daily Show with Jon Stewart 2008/5/28

ウィルモア:黒人の大統領候補が副大統領を選ぶという前例はないから、難しいね。この種のペアリングには、映画にヒントを求めるのがいい。映画で黒人がペアを組んだ相手というと、酔っ払いの白人とか(「48時間」)、田舎者の白人とか(「ハード・プレイ」)、ジャーマン・シェパードとか(「アイ・アム・レジェンド」)、サイエントロジー教徒とか(「パルプ・フィクション」)、ジーン・ワイルダーとか、ジーン・ワイルダーとか、黒塗りのジーン・ワイルダーとか(70年代のワイルダーとリチャード・プライヤーの共演映画)…昔は事情が違ったから(※1)。問題は、こういう組み合わせだと、黒人はだいたい「サイドキック(※2)」の立場になってしまうんだ。

スチュワート:オバマが白人の副大統領候補を選ぶと、副大統領候補のサイドキックになってしまうということ?

ウィルモア:もっと悪くすると、このチケットではオバマは「マジカル・ニグロ(※3)」の役割になってしまうかもしれない。

スチュワート:マジカル・ニ…あ〜、マジカル…

ウィルモア:言ってもいいんだよ。

スチュワート:マジカル…いや、言わないことにする。

ウィルモア:よかった、今のはテストだ。【観客笑】…マジカル・ニグロは、脇に下がってヒーローに重要なことを教える役割の黒人のことだ。バガー・バンスとか(「バガー・バンスの伝説」)、「グリーン・マイル」のデカい魔法使いのブラザーとか、「ミラクルアドベンチャー カザーン」のシャキール・オニールとか…「カザーン」の映画を批判しているわけじゃないよ。空飛ぶバイクに乗って願いを叶えるのが「コマンダー・イン・チーフ(大統領)」に相応しい役柄だとは思えないと言っているだけだ。

スチュワート:…それには誰も反対しないと思うけどね。つまり、オバマの副大統領は白人男性ではだめだということ?

ウィルモア:そうだよ。難しいと思う。

スチュワート:それじゃ、マイノリティのチケット?

ウィルモア:それも難しいなあ。アジア系でゆく?アメリカ人が黒人とアジア系のペアを喜ぶのは、バスローブ姿でヤクザと戦う時だけだからなあ。(「ラッシュアワー」)

スチュワート:それじゃ、ヒスパニックはどう?ビル・リチャードソンは?

ウィルモア:黒人とヒスパニックかあ。いいかもね。ボクシングするの?

スチュワート:いや、ボクシングはしないよ。

ウィルモア:残念。アメリカ人は黒人とヒスパニックのどつきあいを見るのが大好きだからなあ。それならバッチリなんだけど、他の場合…こういう映画(「ブラック・アンド・タン」という架空の映画のポスター)をアメリカ人が見たがるとは思えないなあ。

スチュワート:それじゃ、これはどうせ出る話だと思うけど、ヒラリー・クリントンは?「団結」チケットと言われている…

ウィルモア:黒人と、偉そうな白人女性?どうかなあ。モーガン・フリーマン(「ドライビング・ミス・デイジー」)の悪い前例があるからなあ。(「ドライビング・ミス・ヒラリー」という映画ポスター)「バラク、そこで曲がって!そっちで止めて!」オバマはそれはまずいって知っていると思うよ。

スチュワート:マイノリティはなし、白人もなし?それじゃ、誰を選べばいいんだい?

ウィルモア:ジョン、黒人なら、観客が大喜びしてみんながハッピーになる選択を知っているはずだよ。オバマが選ぶべきなのは、ファットスーツを着た自分自身だ。【観客笑】観客はエディ・マーフィーとニック・ノルティのペアが好きだったけど、エディ・マーフィーと太ったエディ・マーフィーのペアはもっと好きだった。

スチュワート:ラリー、そんなことはできないと思うよ。

ウィルモア:今の特殊効果技術をもってすれば、何でもできるさ。閣僚全員をそれで揃えてもいい。閣議はこんな感じ…(「ナッティ・プロフェッサー」を吹き替えた「閣議」)…おじいちゃん国務長官の意見に賛成だね。

※1 今は、白人が黒塗りで黒人のマネをするのは「人種差別的」と言われてしまいます。でも、ヤバネタ満載と噂のコメディ「トロピック・サンダー」でロバート・ダウニー・ジュニアがやっているそうですけど。楽しみだ。

※2 サイドキック(sidekick):ヒーローの補助的役割をする「相棒」のこと。バットマンでいうとロビンみたいな。

※3 ニグロ:語尾が「ガー」になる方と違って、これは放送禁止用語ってわけじゃないんですけど…やっぱり自身が黒人じゃない限り、使わない方が無難な表現。言いにくそうにしているジョンが妙にかわいい。「…やっぱり言わないことにする。」「よかった、今のはテストだ。」(笑)(笑)