先週と今週のThe Daily Show with Jon Stewart

公式サイト上で、ひとつのエピソードがカットなしの一続きで見られるようになったと思ったら、近頃はなかなか傑作エピソード続きで…

気の向くままにだらだら書いたので、今日は長いよ〜

6/10(火)

The Daily Show with Jon Stewart 2008/6/16

知らなかったのですが、グアンタナモ収容所のことを略してギトモ(Gitmo)と言うのですね。

これがThe Daily Showにかかると、「ギトモ」はセサミ・ストリート風の愛らしいパペットになってしまうのでした。「ギトモ」くんは、グアンタナモの囚人で、エルモが立派なヒゲを生やしたような外見の、むちゃかわいいテロリストです(笑)。「ウォーターボーディング」にかけられて「ビッグ・バードはモサドのスパイなの〜」と告白するところが最高。

うーん、ジョンったら、ブッシュ大統領のモノマネは7年やってもちっとも似てこないのに(いや、似てないところがまた味なんですけど)、エルモの声はなんでこんなに上手いの。ああ、カワイイ。カワイイけど痛い。イタカワイイ。

最後のところで、ジョンが机にこぼれた水を「ギトモ」を雑巾にして拭いているのにも笑いました。ひー、かわいそうなギトモたん。

続いてのセグメントは、アムネスティ・インターナショナルグアンタナモの現状を世間にアピールするため、独房を再現して巡回公開しているんですが…その独房にジョン・オリバーが「劇的ビフォア&アフター」(<日本風に訳してみました)をほどこすという企画。

デイリーショーに取り上げてもらえて、アムネスティもこういう妙なことを考えた甲斐があったってもんです。

ついでに、アムネスティYouTubeに載せてくれたクリップ「アムネスティのためにゴーストバスターズを歌い踊るジョン・オリバー」

http://jp.youtube.com/watch?v=OaNVUQ9fBik

かわいいぞ。がんばれオリバー。がんばれアムネスティ

6/16(月)

The Daily Show with Jon Stewart 2008/6/16

スチュワート:「世の中にはいろいろ怖いものがあるね。テロリストとか、トマトとか、カンフーするパンダとか…」

(トマトって?…と思ったら、アメリカでトマトの食中毒事件があったのですね。)

アメリカに蔓延しつつある新たな恐怖症、「ラクノフォビア」に関するレポート。

「アラクノフォビア(Arachnophobia)」とは「蜘蛛恐怖症」のこと。(<そういう題名の映画があったので覚えた。)「バラクノフォビア(Baracknophobia)」は、「バラク(・オバマ)恐怖症」…ジョン・スチュワートの定義によると、「『希望』(オバマの選挙スローガン)に対する理不尽な恐怖」。要は、オバマ候補が大統領になることに対する保守派の恐怖のこと。

オバマ候補に対して、メディア(主にFOXニュース)が、ネットから拾ったネタなどを元に広めているくっだらない噂・中傷・言いがかりを検証したセグメント。これが放映されて数日しか経っていないのに、「Baracknophobia」でググってみるとすでに9000件近いヒットがあるのがさすがです。

FOXニュースがオバマの演説を盗作だと騒いでいるけど、実際に二つの演説を比べてみると、共通している単語は「of」と「to」と「we」しかなかった、というのなんて…うーん、中傷しようにも、よっぽどネタがないんだろうか。それっていいこと?でも、ネタがなきゃないででっち上げるのがネガティブ・キャンペーンなんだろうな。

「コレが11月まで続くのか」と、すでにうんざりしているアメリカ人のブログやコメントをよく見かけます。私は「The Daily Show」で見てるだけだから気楽ですけどね。

「噂を広める伝書鳩のガンター」がカワイイ。

ゲストは、元連邦検事のデビット・イグレシアス(David Iglesias)。ブッシュ政権の元司法長官アルベルト・ゴンザレスに解雇された検事の一人で、その経緯を書いた本のプロモーション中。本の題名「In Justice」は、「司法(Justice)の中で」と、「Injustice(不正)」をかけているものと思われます。

ゴンザレス司法長官は2006年末、連邦検事を8人解雇しました。任期中の検事が解雇されるのは非常に異例のことである上、理由をまったく明かさずに8人もいきなりクビにしたことで、大問題になりました。

以前に訳したビル・モイヤーズのインタビューで言っていた(5/5のエントリー参照)下院の証人喚問は、この件に関することだったのです。ゴンザレスは「記憶にありません」の一点張りでシラを切り通したわけですが。

ゴンザレスは議会からのプレッシャーを受けて辞任したのですが、検事の解雇について大統領側から指示があったかどうかは、今もうやむやのままです。(あったというのがもっぱらの噂ですが。)

要は、司法手続きのルールを真面目に守って、ブッシュ政権に都合の良いように動いてくれない検事たちを解雇した、ということらしいのですが…

イグレシアス:スター・ウォーズで言えば、自分がジェダイ騎士団のために働いていると思っていたら、実はシスの暗黒卿のために働いていたということです。

スチュワート:ウチの視聴者層にとって、それは一番わかりやすい例ですね。

ははは、私もそうでした。

最後のコーナー「Moment of Zen(禅的瞬間)」は、先週末に58歳の若さで心臓発作で急死したNBCのニュースキャスター、ティム・ラサート(Tim Russert)の追悼。

ラサートさんは"The Daily Show"に3回ゲスト出演しているのですが、その1回目のクリップ。ラサートさんは自分の父親について書いた本のプロモーションに来たのですが、彼が言ったことにジョンが感動して、「ぼくにハグさせたいんですか?ほんとにハグしますよ?」と言っているシーンです。

この時(2004年5月)、ジョンはもうすぐ初めての子供が生まれるという時だったのですが、ラサートさんは「その時から人生が変わるよ」と言っています。「18年前に息子が生まれて、今、父についての本を書き上げて、父も息子もその本を読んでくれた。私の人生がこれで完成された気がする」と…

ついこの間、ラサートさんの番組「Meet the Press」にヒラリーの選挙参謀テリー・マコーリフが出演したのですが、なぜかラサートさんの父親がもう亡くなっているものと勘違いして、「あなたのお父さんが天国から見ていたら、きっとヒラリーに戦い続けるように言ってくれるに違いない」とか勝手にまくし立て、ラサートさんに「うちの父ならまだ元気で、リビングのソファでこの番組を見ていますよ」とたしなめられる…という、ちょっと笑える事件がありました。(<もちろん私はデイリーショーで見た。)

そんなことがあったばかりなのに、息子の方が先に亡くなるなんてなあ。気の毒です。

ジョンは金曜日のライブで、最後にラサートさんのことを語っていたそうです。ジョンの息子が生まれたとき、ラサートさんは「赤ちゃんの頭の匂いをかいでみるといい、世界で一番いい匂いだよ」と言ったそうです。それを聞いたときは、ジョンは「変なことを言うなあ」と思ったそうですが、実際に息子が生まれて、頭の匂いをかいでみると、それは本当だった。これからは、息子の頭の匂いをかぐたびにティム・ラサートを思い出すだろう…と。

私はラサートさんの番組を見たことがあるわけじゃないんですが、そういう話を読んでいたので、このトリビュートには感動してしまいました。

6/17(火)

The Daily Show with Jon Stewart 2008/6/17

最初は、ジョンの愛するニューヨーク・メッツの話題、監督がいきなりクビになったという話。

スチュワート:「ぼくもクビになった経験は豊富で、実の兄にクビにされたこともあるし、『ストリッパー電報』でクビになったこともあるけど…」

ジョンのお兄さんは、現在はニューヨーク証券取引所の重役だそうです。ジョンをクビにした時点でどんな仕事をしていたのかはわかりませんが…

しかし、『ストリッパー電報』?雇い主のせめてもの思いやりなのか?いらないよ〜そんな思いやり。

メッツは不調らしいから、解任されること自体はしょうがないのだけど…わざわざカリフォルニアに遠征中に、勝った試合の後で、しかも夜中の3時の電話でクビを通告されたなんてヒドイ、という話。

スチュワート:「夜中の3時の電話っていったら、セックスのお誘いしかないだろ?解雇の電話はないよ。」

デイリーショーでは、監督はメッツのマスコット「ミスター・メット」からの電話でクビになったことにしています。阪神の監督がトラッキーからの電話でクビになるようなものか?まあ、阪神は好調だから、監督がクビになることはないけどね。もうちょっと適切な例で言うと、横浜の監督がホッシーからの真夜中の電話で解雇通告?イヤだなあそれは。

つづいて、カリフォルニア州同性婚が合法化されたことを受けてのウェディング・ラッシュの話。ゲイネタとなると、デイリーショーはことのほか生き生きしますね。それとも、私が生き生きするだけか?

最初に結婚したのが、80代のおばあさん同士のカップルで、なんと1950年代からずっと一緒だそうです。世間の厳しい目に二人で耐えて半世紀、今日、晴れて結婚…ああ、この話に感動しない人なんているんだろうか??(客席がいっせいに「Awwww....」となっているのが聞こえます。)ラッセル・クロウの「人生は上々だ!(The Sum of Us)」を観た方、ジェフ君のお祖母さんの話を思い出しませんか?

スター・トレックのスールー役のジョージ・タケイ氏もゲイだったのですね。結婚なさったそうで、おめでとう。とにかく、みんな幸せそうで、めでたいことです。

ユダヤ教の伝統的な結婚式を挙げたレズビアンカップル。

スチュワート:「この二人が子供を持つことには賛成だけど、『ユダヤ系の母親』が二人もいる子供ってちょっと心配だね。」

ユダヤ系の母親(Jewish Mother)』というのは、教育熱心で過保護で口うるさい…と、一般に言われています。(それって、どっかの国の母親にも当てはまるような…)ジョン自身、ジューイッシュ・マザーには経験豊富?

ジョンのお母様は元教師で、今は教育コンサルタントとして有名な人らしい。今年のアカデミー賞の前頃の話ですが、ジョンのお母さんが、新しく学校を開設する校長3人を集めてアドバイスした、という地方新聞の記事を読みました。

http://loudounextra.washingtonpost.com/blogs/living-loco/2008/feb/19/consultant-celebs-mom-advises-soon--be-principals/

口うるさいかどうかはわからないけど、教育熱心なことは確実と思われます。今日は家族ネタが多いな。

「現地取材」コーナーはジョン・オリバー。グリーンカードを持っていなくて常に就労ビザの問題をかかえている外国人の彼は(<これは本当の話)、偽装ゲイ結婚をたくらむのですが…あいにく相手に選んだジェイソンはカナダ人で、お互いにアメリカ国籍目当てだったというオチ。

オリバー:「ぼくはアメリカのためにゲイになる!(I'm gay for America!)」

二人ともサマンサ・ビーに殺されるよ(笑)。戦争の話もいいけど、こういうめでたくて楽しくて、しかもデイリーショーらしい話題はいいなあ。

インタビューはうって変わってシリアストーン、CBSのチーフ海外特派員のララ・ローガン(Lara Logan)。イラク戦争開戦以来、ずっとイラクで取材している記者だそうです。この人、こんな色っぽいお姉ちゃんみたいな外見なのに、中身はめちゃくちゃ硬派なんですね。いやいやすごい。

リアルタイムでファンが投稿するフォーラムでも、最初は「なにこの人?」って感じだったのが、インタビューが終わる頃には「この女性はすごい、惚れちゃった!」と、男性ファンも女性ファンも声をそろえてました。

自分の取材を放映してもらうには「編成をロケットランチャーで脅すこと」と冗談まじりに語り、放送禁止用語を口にしてジョンを驚かせ、CBSの特派員でありながら、「アメリカのニュース番組は見ない、見たら自殺したくなるから」と言うローガンさん。彼女のイラク戦争カバーは「ネガティブすぎる」「暗すぎる」と批判されることもあるとか。

スチュワート:…こうしたことが国内で起きたのなら、今後2年間で最大のニュースになったでしょう。まるで、国民は無感覚になってしまっているみたいです。今日、イラクシーア派地域で51人が殺された。われわれは無感覚になっているのでしょうか?こうした状況の中で、われわれ(アメリカ人)は人間性を失ってしまったのでしょうか?

ローガン:ええ、失ったんですよ。私は(他のニュースキャスターに)こんな質問をされたことがあります。「あなたはアメリカの人々を悲観的にしたことに責任を感じますか?国民がイラク戦争に対してネガティブな見方をするようになったことに、あなたは責任を感じないんですか?」

私は言ったんです、「あなたがアメリカ兵の死体を最後に見たのはいつですか?死体はどんな様子でした?死体がどんな風に見えるか、アメリカ国内の誰が知っていますか?私は知っています。そして他の誰もそれを知らないということに責任を感じます。」と。

私が責任を感じるのは、誰も理解していないことです。兵士たちは、自分たちが忘れられていると感じています。アフガニスタンからイラクまで、本当に彼らはそう感じています。開戦から5年も経って、国民は聞き飽きているかもしれませんが、兵士たちは今でも出かけて行って同じ仕事をしなければならないんです。

エンドクレジットは、ジョン・オリバーとジェイソンの結婚写真特集。フルエピソードが見られるようになってよかった。