英国の堀(先週のThe Daily Show with Jon Stewart)

先週は何と言ってもコレ!

The Daily Show with Jon Stewart 2009/5/20

ここ数週間のイギリス国内では大騒ぎになっている(でも他の国ではあんまり報道されていない)ニュース、英国議会の議員たちが議会歳費請求の審査基準がゆるいのをいいことに、思い切り個人的な費用を歳費として請求していた、というスキャンダルです。この問題で下院議長が300年ぶり(!)に辞任に追い込まれたとかで。

イギリスのテレビレポーター:納税者の怒りは高まっています。

ジョン・スチュワート:世紀の大スキャンダルだっていうのに、それで怒ってるつもり?こっちなんか、自動車の燃費基準を変えるって言うだけでこれなのに…

【新しい燃費基準に関して言い争っているアメリカの報道番組のクリップ】

その、議員たちが請求していた個人的費用とは「家の掃除代」とか「紙オムツ」とか「トイレの便座」とか「ホームシアター」とか、タチの悪いのでは「ポルノビデオ2本」とかあるのですが…

ジョン:ポルノ2本で15ドル相当?そりゃ良心的な値段だね。でも、イギリス人が出ているポルノだから…

【シルクハットに片眼鏡の英国紳士が裸で写っているポルノビデオ(?)のカバー】

でも、そんなのより、英国オタクの心を、ことさらにくすぐってくれた「私費」は…

テレビキャスター:このスキャンダルを象徴するのが、ダグラス・ホッグ議員が請求した「領地の屋敷の堀の掃除代」、3100ドル相当です。

スチュワート:本物のウォーターゲート(水門)もついてるよ!

イギリス英語のマネで、ダグラス・ホッグ議員の「夫婦の会話」のマネをするジョンに、「もう我慢できない」と乱入したのが、英国人のジョン・オリバー。(待ってました!)

ジョン・オリバー:そんなに可笑しいか?名誉ある英国議員ダグラス・ホッグが、家族を守るために堀を必要としたのが?!

スチュワート:ゴート族の侵入に備えていたの?15世紀のフランスの侵略?

オリバー:以前にも起こったのだから、これから起こらないとは限らないだろう?

スチュワート:掃除しないでおいたほうが、敵のカタパルトの車輪が泥にはまって動けなくなるんじゃないの?お堀があっても、ドラゴンは飛び越えるんじゃないの?

オリバー:ドラゴンなら何年も前に駆除した!

スチュワート:お堀を越えようとする人に、「トロールの3つの謎掛け」の答えを知られないようにするにはどうしてるの?

オリバー:トロールじゃない、吊り上げ橋だ!お堀について何も知らないくせに…

スチュワート:お堀を掃除する時は、やっぱりセクシーな「お堀ボーイズ」を雇うわけ?かわいい「お堀ボーイズ」のユニフォームを着せて?「失礼します、奥様、お堀の掃除です…」

オリバー:もうたくさんだ!そうやって馬鹿にするのは、お堀のことを何もわかっていないからだ!自分の所有物の周りに溝を掘って、臭い水で満たしたことがあるっていうのか、スチュワート?!

スチュワート:それは、ないけど…

オリバー:ぼくはあるぞ!ぼくは英国人だからだ!【勇壮な音楽。】ぼくはイングランドから来た。スキャンダルのさなかであっても、ぼくは誇りに思う…この歴代の王の玉座、この王権に統べられた島、そしてその堀を…ああ、ついうっかりとは言え、公費によって保守されていた堀を。

スチュワート:この話で「リチャード二世」をやるわけ?

オリバー:やるとも。覚悟しろ。わが国は、銃で自らを守ってはいないかもしれない。【汗だくのオリバーを脚本であおぐスチュワート】…ありがとう、ぼくの情熱でカメラに火がつきそうだった。

スチュワート:お堀の水をオリバーにかけろ!

オリバー:やめて。…しかし、神に誓って、我々は澱んだ汚水溝で自らを囲い込み、それを肝炎ウィルスと、鴨のフンと、コンドームで強化しているぞ!我々は戦う、この汚職、このペテン、このイングランドのために。特派員、嵐のような喝采に送られて退場…

ジョン・オリバー…素晴らしい!

セグメントのタイトル「SCAMalot」がまた傑作。

Scam=詐欺、ペテン

SPAMALOT!=モンティ・パイソンを元にしたミュージカルの題名

そういえば、ジョン・オリバーはモンティ・パイソンのスターを輩出したオックスフォードの演劇部の出身だそうです。英国万歳。