ほのぼのじゃない話(その2)

11/20のエントリーの続き。

この話を書き始めて、途中ではたと困ったのは…

私、前回書いたデニス・リアリーの発言については、これのどこが悪いのかは、言うまでもなく明らかなこと、誰にでも読めば分かることみたいに思って書いていたのですが…よく考えると、そうでもないのかな。もうちょっと背景説明した方がいいのかなあ、と…

でも、ここを読んで下さっている可能性のある人には、もっと知識や経験のある人もいらっしゃるはずなので、私などが解説するのもおこがましいかも…というあたりが、やっかいな所でして。

まあいいや。私の知ってる範囲で簡単に書きますので、何かありましたら適宜突っ込みお願いします。

自閉症は、「自閉症スペクトラム」という言葉があるとおり、自閉症で「ある」か「ない」かのはっきりした境界線がなく、その度合いの「濃いか薄いか」は人によって千差万別。またその症状というか、表れ方もさまざまだそうです。だから、このデニスの言葉のように「そんなのは自閉症じゃない」とか、「親のしつけが悪いだけ」という誤解を受けやすいのです。

基本のWikipedia

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E9%96%89%E7%97%87

私が書いている「オーブリー・マチュリン」シリーズの感想で、ある登場人物(子供)に関連して翻訳家のニキ リンコさんにいろいろ質問して答えをいただいたもの。本の話を離れても、とても分かりやすいお答えですので、よろしければ…

http://www002.upp.so-net.ne.jp/kumiko-meru/com_sp2.htm

話を戻して、先週の火曜のデイリーショーの話。

The Daily Show with Jon Stewart 2008/11/18

デニスがゲストで来ると聞いて、ああ、この話をしに来るんだろうな、と思いました。ジョンとしては、友達として、釈明の機会を与えてあげないわけにはゆかないものね。

デニスの説明は、まとめると、「新聞がout of contextで引用した」ということと、「本物のAutismの子供たちのことを言っているのではない、実際に言い訳として診断を求める親がいて、それは馬鹿げていると思うということを書いただけ」ということ。

私はこの「釈明」には納得ゆかなかったし、がっかりしたのですけど。

自閉症の子供には、ものの理解や記憶の仕方に独特の特徴があるので、その特徴を理解して合った教育をするかしないかで、その子の未来にものすごい違いが出てくるということは容易に想像がつきます。(だからこそジョンも、教育支援のチャリティに協力しているのだろうし。)

だから、もし仮にデニスの言うように、自分の怠惰の言い訳として診断を求める親が一部にいたとしても…親の言うとおりに誤った診断を下す医者がそんなにいるとは思えないし、もし多少過剰診断気味になったとしても(もともと、「ある」か「ない」かではっきり線の引ける障害じゃないから)、むしろ親が「そう思われることを怖れて診断を求めない」ことによる悪影響の方が、百倍も大きいと思うのです。

デニスって、悪い人じゃないんですけどね…自分がよく知らないことに関して、人を批判するようなことを書くべきじゃないと思いました。デニスにも子供がいるんですけど、どうも「子育て」ってことになると、自分が子供を育てたっていうだけで、子育て全般のエキスパートみたいな気になる人が多いような…子供はひとりひとり違うのに。

このインタビューは、ジョンもすごくやりにくそうでしたね。

「この文にはたくさんの人が怒ってたし、ぼくも怒って、すぐに電話した」「本当に自閉症の子供たちやその親たちのことを言っているんじゃないんだね?彼らはすごく大きな困難を抱えている、もしかしたら世の中で一番難しいことかもしれない」「もしそうなら、お前は世界一の大アホってことになる。お前がアホなのは分かってるけど、そこまでのアホじゃない…まあ、近いけど。」

ジョンも、なんとなく納得していないような感じでしたけど…いくら長年の友達でも、「謝った方がいい」とか、「こういう風に釈明しろ」とまでは言えないのよねえ。お互い大人だし…(というか、デニスの方が5歳ぐらい年上なんだよね。)

デニス・リアリーがゲストで来るときはすごく楽しくて好きだったので、これは本当に残念なことでした。

あー、なんか簡単に書くつもりが長くなってしまった。「ほのぼのじゃない話二題」のつもりでしたが、こんな話ばっかり続けるのもナンなので、もう一題のビル・オライリーのインタビューの話は、とりあえずやめておきます。

次はもっと楽しい話で。楽しい話といえば、スティーブンのクリスマス・スペシャルのDVDを予約しました。楽しみ〜

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すぎ様

はじめまして!
毎日楽しみにして下さっているということで、ありがとうございます!やる気倍増です。
My gut tells me that your gut is right! です(笑)

そうそう、スタンダップコミック系のコメディアン(ジョン)と、役者系コメディアン(スティーブン)の違いというのは面白いですね。私は、大阪流に言えば、スタンダップ系は突っ込み、役者系はボケに近いと考えたりしています。(もちろん、正確には違いますが。)デイリーショーでは、ジョンの他に、ルイス・ブラック、ジョン・オリバー、ワイアット・セニャックなどが突っ込み系で、他の人たちは「ボケ」系だと思ったりしています。

ジョンの方がいい男ですが、最近Rahm Emanuel氏に妙に興味が湧いてます。なかなか面白い人で、オバマ政権になったら、デイリーショーにたっぷりネタを提供してくれそうです(笑)。